アブラハム・クルズヴィエイガスは、1968年メキシコシティ生まれで、現在も同地を拠点に活動するアーティスト。近年、イギリスのテート・モダン、アメリカのウォーカー・アートセンターなどでの個展開催をはじめ、ドクメンタ13(2012年)や第50回ヴェネチア・ビエンナーレ(2003年)、第9回光州ビエンナーレ(2012年)といった国際展に参加するなど、世界各国で精力的に活動を続けている。
クルズヴィエイガスは訪れた土地のローカルな素材を作品に取り入れ、石や段ボールから動物の排泄物や植物まで、あらゆる素材で、多岐にわたる制作を行っている。密集したマーケットなどにみる「美的な乱雑さ(混沌)」をルーツとし、自身の制作や作品のあり方を「Autoconstrucción(自己構築)」という言葉で表し、シリーズ化してきた。これは、各地の歴史・政治・社会・経済の姿を内包する素材を用いながらも、それらの象徴性を取り払い、即興的な手作業や介入によってまったく新しい彫刻を再構築していく、というもの。
本展は、2017年に3か所で開催されるクルズヴィエイガスの一連の個展で、東京での展示はその第2章にあたる。日本で展開された建築運動「メタボリズム」や、イサム・ノグチの家具をインスピレーション源に、バックミンスター・フラーが提唱した建築構造の概念「テンセグリティ」やフィボナッチ数などを引用しながら、新作インスタレーションを組み立てる。