コシノのなかに広がるジャングルを巡る
展示を見終えたANDOが最初に口にしたのは、「こんなにもいっぱいの作品が見られるとは思っていなかった」という驚きだった。コシノが手がけてきた圧倒的な量のファッションと絵画に包まれながら感じたのは、アイデアをかたちにしていく速さと思考の移ろいである。キャンバスに走る線や重ねられた色彩、古今東西のインスピレーションが混じり合う実験的なスタイルには、思いついた瞬間に手を動かし、制作中の変化を受け入れながら未知の領域へ踏み込んでいく、コシノの衝動が刻まれている。

「まるで、コシノさんのなかにあるジャングルを巡らせてもらったみたいでした」とANDOは振り返る。色や柄、布、身体、自然、記憶が繁茂するようなコシノ独自の世界が広がる本展。整理された一本道を進むのではなく、作品同士の関係をたどり、ときに迷いながら、自分なりの接点を見つけていくことが醍醐味となるはずだ。

大人を子供の心に戻し、子供の好奇心に火をつける。コシノの作品には、固定化された見方をほどき、作品の前で自由に想像し、未知の妄想を促すようなひらかれた力がある。自分の道筋で会場を歩き、目を凝らし、作品に触れ、全身で作品の密度に身を委ねたとき、そのジャングルは、まだ見ぬ自分自身の想像力にもつながっていくだろう。



















