名和晃平が語るジェフ・クーンズ。日本初の個展から読み解く「表層」と彫刻の拡張【2/2ページ】

絵画の歴史への挑発と、イメージ操作の巧みさ

クーンズの作品は彫刻もペインティングも「置き換えること」を徹底していると名和は語る

──今回の展覧会では彫刻だけでなく、ペインティング(絵画)作品も展示されています。名和さんから見て、クーンズのペインティングはどう映りますか?

名和 ペインティングのフォーマットに対する疑いや、美術史に対する挑発的なスタイルを感じますね。一見するとデジタルで合成したかのように見えるイメージを、あえてすべて手描きで緻密にペインティングに置き換えている。筆触と色彩のコラージュ的なスタイルで絵画を成立させる「外し方」が独特です。

 彫刻であれ絵画であれ、クーンズはイメージや概念を何かに置き換えることに徹底しています。明快なアイデアを物質的に実現するために、技術を徹底的に詰める。そこに込められたメッセージや皮肉、暗喩を読み取るだけの奥行きと説得力を持たせているのが最大の魅力だと思います。

実空間でしか味わえない「違和感」と「引っかかり」

エスパス ルイ・ヴィトン大阪での展示風景* ©Jeff Koons Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris Photo ©︎ Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

──最後に、これから展覧会に足を運ぶ方へメッセージをお願いします。

名和クーンズの真価は、直接鑑賞してこそ受け取ることができるものだと思います。ジェフ・クーンズは美術史のなかで圧倒的な存在感がありながら、日本での個展は意外にも今回が初めてです。クーンズの真価は、直接鑑賞してこそ受け取ることができるものだと思います。彼の作品は、実際に目の前に立つことで初めて「質感の置き換え」による違和感や、スケール感の妙を肌で感じることができます。そこにはただ美しい、格好いいだけではなく、人の心を少し動揺させたり、イライラさせたりするような心理的な計算も組み込まれている。その「引っかかり」を実空間で体感してこそ、クーンズの作品に「やられたな」という本当の感覚がわかるはずです。

編集部