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コーネリアス、11年ぶりのニューアルバム『Mellow Waves』で銅版画家・中林忠良とコラボ

現在、小山田圭吾のソロ・プロジェクト、コーネリアスによる約11年ぶりのフルアルバム『Mellow Waves』が発売中だ。叔父であり、日本を代表する現代版画家でもある中林忠良がジャケットをつとめた本作について、コーネリアスに聞いた。

CDアルバム『Mellow Waves』アートワーク

待望のニューアルバム『Mellow Waves』から見える、コーネリアスと中林忠良が描く夢と現実のあいだ

 1993年の活動開始以降、アルバムごとに新たな局面を見せてきた小山田圭吾のソロ・プロジェクト、コーネリアスが11年ぶりとなるフルアルバム『Mellow Waves』をリリースした。「ここ数年、プロデュースやコラボレーション、演奏者として音楽に関わるなか、自分はまだ“歌を歌う”ことをしていないと思った」と小山田自身が話すように、前作・前々作などで目立ったインスト曲、あるいは「声をパーツとして配置していく」といったスタイルは身を潜め、メロディアスなボーカル曲が多くを占める。歌詞は叙情的で、アルバムタイトルが示すように全体を通して「Mellow(=なめらか)」なムードに満ちている。「前作が癖や臭みのない、水や空気みたいなアルバムだとしたら、今回は体温やにおい、癖を意識しました」。

コーネリアス

 2012年よりつくりためた曲で『Mellow Waves』の輪郭が出来上がる頃、小山田の頭には日本の現代版画界を代表する作家のひとりであり、自身の叔父にあたる中林忠良の作品イメージが浮かんでいた。「10年くらい前、叔父の作品をまとめて見る機会があり、それ以降自分の作品のジャケットに使用したいとぼんやり思っていました。小学生の時、叔父の家で遊んでいたときに目にした、ライトに照らされる銅版画や、手づくりのものであふれる部屋の雰囲気。振り返ってみると、モノクロで不思議でシュールな作品世界は自分の記憶にずっととどまっていた気がします」。4月から連続リリースしたシングル、アルバムのジャケットには、なじみのある1960~70年代の作品が使用されている。

アナログ7インチ・シングル「あなたがいるなら」アートワーク

 「叔父の版画は“腐食銅版”といって、腐食液に浸す時間をコントロールすることで作品に濃淡をつけるんです。『腐食液という不確定要素が入ることによって、作品が自分の想像を超えることがある』と話していて、それは自分が音楽をつくるときの考え方にとても似てる。さらに、叔父の作品を見たときに感じる“夢と現実のあいだ”という雰囲気が今回のアルバムイメージにもあって。僕と叔父の作品にはいくつもの共通点があるような気がしているんです」。

アナログ7インチ・シングル「いつか / どこか」アートワーク

 (『美術手帖』2017年8月号「INFORMATION」より)

編集部

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