「面白くない美術館」にならないために
──逢坂恵理子前館長時代には、メディア共催のブロックバスター展に加え、無料の自主企画展やパブリックスペースにおける若手作家の展示、さらに香港の大型美術館M+との協働企画展など、様々な新しい試みが見られました。
菅谷 非常にいい方向性だったと思います。ブロックバスターも自主企画も開催し、海外の美術館とも連携する。これからの美術館には、そうした複数の方向性が必要です。いまは、美術館もメディア企業も、従来と同じやり方では成立しにくくなっています。新聞社やテレビ局の事業部と組んでいればいい、という時代ではなくなってきている。だからこそ、美術館側からも新しい提案をしていかなければいけない。
ただ、よく考えると、美術館というものはつねに変化を求められてきた存在でもあります。新しい視点、新しい方法を考え続けなければ、すぐに「面白くない美術館」になってしまう。コレクションを持つ美術館であれば、そこから発想することができる。でも国立新美術館は、ある意味でそこに縛られない。だからこそ、「いま何を提示できるのか」をつねに考え続けなければならないと思っています。

展覧会だけではありません。美術館のあり方、組織のあり方、外部との関係の築き方も含めて、つねに更新していかなければならない。過去の名作を扱うとしても、同じ見せ方を繰り返しているだけでは魅力的ではありません。「この作品にはこんな見方もあるのか」と思ってもらえることが重要です。学生時代に見た作品を、大人になって別の視点から見たときに、「こんなに面白かったのか」と感じてもらえる。そういう経験を提供することが、美術館の役割だと思っています。
国立新美術館は、固定化された価値観を提示する場所ではないはずです。ここが権威として「これが日本の美術です」と決める時代ではありません。「こんな見方もありますよ」と提示した先で、来館者がそれぞれの発見をしてくれればいい。



















