10月に見たい展覧会ベスト21【5/5ページ】

「テート美術館 ターナー展──崇高の絵画、現代美術との対話」(国立西洋美術館)

 東京・上野の国立西洋美術館で、「テート美術館 ターナー展──崇高の絵画、現代美術との対話」が開催される。会期は10月24日〜2027年2月21日。なお、本展は大阪中之島美術館(2027年3月13日〜6月27日)にも巡回予定となっている。

J.M.W. ターナー《月光、ミルバンクでの習作》(展示:1797) 板(マホガニー)に油彩 テート美術館 Photo by Tate

 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775〜1851)は、1802年に史上最年少でロイヤル・アカデミーの正会員となるなど、イギリス絵画史上もっとも偉大な画家のひとりとされる人物だ。移ろう光や大気、荒れ狂う海や空、あるいは産業革命期に人間が排出しはじめた蒸気や煤煙など、この世界の一定ではない諸相を時に克明に、時に抽象化して描き出した。その取り組みは絵画の可能性を拡張し、絵画史における新地平を切り拓いたとも言えるだろう。

 本展は、世界最大のターナー・コレクションを誇るロンドンのテート美術館の所蔵品から、油彩画や水彩画など、80点以上を紹介する大回顧展となる。序章と全7章の構成で作品をテーマごとに再編し、ゆるやかな時系列に沿って展示。さらに、ターナーの絵画と現代美術を併置して対話させ、その問題意識が後世のアーティストたちの関心とも響きあうことを提示するという。

会期:2026年10月24日〜2027年2月21日
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7 
開館時間:9:30〜17:30(金土〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし11月23日、2027年1月11日は開館)、11月24日、年末年始(12月28日〜2027年1月1日)、1月12日 ※2027年1月12日〜2月21日の期間、常設展は閉室
料金:一般 2400円 / 大学生 1500円 / 高校生 1100円

「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×藤井光 WHOSE LIGHT? ─だれのひかりか」(アーティゾン美術館)

 アーティゾン美術館の開館以来、毎年開催されている、石橋財団コレクションと現代作家による共演企画「ジャム・セッション」。その第7回となる「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×藤井光 Whose Light? —だれのひかりか」は、芸術と社会、歴史との関係性を、綿密なリサーチとフィールドワークを通じて探究してきたアーティスト、藤井光を迎える。会期は10月24日〜2027年1月31日。

アーティゾン美術館ウェブサイト(https://www.artizon.museum/exhibition/detail/608)より Photo by Hikaru Fujii

 藤井が本展で着目するのは、プラトン『国家』第7巻に登場する「洞窟の比喩」における中心的概念、「光=真理」である。何が照らされているのかではなく、「その光を誰が、どのように照らしているのか」という視点へと問いを反転させることで、真理が成立する構造そのものを批評的に捉え直そうとする。

 この問いに応答するかたちで、会場では古代から中世、近代、そして戦後へと至る時間軸に沿い、石橋財団コレクションと新作を含む藤井の作品を展示。異なる時代の作品が交差するなかで、「光」と「真理」をめぐる価値観がいかに形成され、更新されてきたのかを浮かび上がらせる構成となりそうだ。

会期:2026年10月24日〜2027年1月31日
会場:アーティゾン美術館
住所:東京都中央区京橋1-7-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00–18:00(金〜20:00)※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし11月23日、1月11日は開館)、11月24日、12月28日〜1月4日、1月12日 
料金:一般 1500円 / 学生 無料(要ウェブ予約)※中学生以下の方はウェブ予約不要。

「少女漫画・インフィニティ 萩尾望都×山岸凉子×大和和紀 三人展」(国立新美術館)

 東京・六本木の国立新美術館で、同館開館20周年を記念し、少女マンガ界を代表する3人の巨匠、萩尾望都、山岸凉子、大和和紀の画業をたどる「少女漫画・インフィニティ 萩尾望都×山岸凉子×大和和紀 三人展」が開催される。会期は10月28日〜2027年2月8日。

左から ©萩尾望都/小学館、©山岸凉子、©大和和紀/講談社

 萩尾、山岸、大和はいずれも1960年代後半にデビューし、1970年代に「少女漫画黄金期」を牽引した存在である。物語構造や心理描写、画面構成において革新的な表現を次々と打ち出し、少女マンガの表現領域を飛躍的に拡張してきた。以後も長年にわたり第一線で創作を続け、表現の多様性と可能性を体現してきた点で、3人はまさに時代の証言者とも言えるだろう。

 本展では、代表作の原画や貴重な関連資料を通じて、3作家それぞれの創作の軌跡をたどるとともに、その表現を支えてきた思想や創作の源泉に迫る。少女マンガというジャンルを超え、日本の視覚文化に大きな影響を与えてきた3人の仕事を、あらためて見つめ直す機会となりそうだ。

会期:2026年10月28日〜2027年2月8日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル) 
開館時間:10:00~18:00(金〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火(ただし11月3日、12月8日は開館)、11月4日、年末年始(12月28日~2027年1月5日) 
料金:一般 2200円 / 大学生 1000円 / 高校生 500円

「森万里子:燦燦」(森美術館)

 東京・六本木の森美術館で、アーティスト・森万里子の個展「森万里子:燦燦」が開催される。会期は10月31日〜2027年3月28日。

森万里子《Wave UFO》(1999-2002)脳波インターフェース、ビジョンドーム、プロジェクター、コンピュータシステム、グラスファイバー、テクノジェル®、アクリル、カーボンファイバー、アルミニウム、マグネシウム 528×1134×493cm 展示風景「森万里子:Wave UFO」(ブレゲンツ美術館、オーストリア、2003) 撮影:リチャード・リーロイド

 森は1967年東京生まれ。近未来的な世界観と日本のアニメ文化などを融合させたのち、日本の自然信仰、仏教といった古代思想や精神世界、さらには縄文、ケルトなどの古代文化へとその表現を拡張していった。また、量子論、宇宙物理学、神経物理学にも接点を求めて、第一線の科学者やエンジニアともコラボレーション。2000年以降は没入型の空間体験を促す大型インスタレーションも制作している。仏教的な宇宙観を起点に、あらゆる物事の相互関連性を希求する「Oneness(万物の一体性)」を表現。10年には自然環境と人類のつながりを考えるパブリックアートを六大陸に恒久的に設置することを目指しファウ公益財団を設立。ブラジルと宮古島で実現している。

 本展は、02年に東京都現代美術館で開催された「森万里子 ピュアランド」展以来、国内では24年ぶりの美術館での個展となる。インタラクティブなインスタレーション、彫刻、ビデオ、写真、ドローイング、パフォーマンスなど30年以上にわたる実践から約80点の作品が一堂に会する大規模個展。初期から最新作まで、代表作が緩やかに時代を追って展示され、作品資料やアーカイブも初公開される予定だ。

会期:2026年10月31日〜2027年3月28日
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~22:00(火、11月27日〜17:00、11月3日〜18:00、2月23日〜22:00)※入館は閉館時間の30分前まで
休館日:会期中無休 
料金:[平日]一般 2800円 / 学生(高校・大学生)1700円 / 中学生以下 無料 / シニア(65歳以上)2400円、[土日祝]一般 3000円 / 学生(高校・大学生)1800円 / 中学生以下 無料 / シニア(65歳以上)2600円 ※12月30日、12月31日は土日祝料金

青森県立美術館開館20周年 / 東日本大震災15年「志賀理江子 なぬもかぬも」展(青森県立美術館)

 青森県立美術館で、身体の感覚に根ざした光と色、演劇性のある写真や映像作品で国際的に知られる宮城在住のアーティスト・志賀理江子の個展「なぬもかぬも」が開催される。会期は10月31日〜2027年3月14日。

 展示タイトルの「なぬもかぬも」は三陸沿岸部に伝わる方言であり、「お手上げだ!」「深い海の底のため息」「一切合切」など、使う人や環境により意味がひらく、不思議な奥行きのあるものだ。この言葉を冠する本展は、震災前から志賀がその身でたどってきた宮城、福島、山形、秋田、岩手、青森の土地とその歴史、耳を澄ませてきた様々な声、出遭ってきた風景への深い洞察から生まれた写真や映像、テキスト、インスタレーション作品を新旧織りまぜて紹介する、作家にとって過去最大規模の個展となる。

 会場では、青森をはじめとする「東北」の各地で撮影された写真や映像の新作が登場するほか、近作群からとくに志賀が架空の人物「褜男(えなお)」に託したイメージと物語からなる《なぬもかぬも》(2025)が再構成して展示されるという。

会期:2026年10月31日〜2027年3月14日
会場:青森県立美術館
住所:青森県青森市安田近野185
開館時間:9:30〜17:00(11月14日、12月19日、1月16日〜20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:11月9日、24日、12月14日、24日〜31日、2027年1月1日、12日、25日、2月8日、13日〜25日、3月8日
料金:一般 1700円 / 大学生 1200円 / 18歳以下および高校生 無料 / 心身に障がいのある方と付添者1名は無料