10月に見たい展覧会ベスト21

2026年10月に開幕する展覧会のなかから、とくに注目したいものを編集部がピックアップしてお届けする。

J.M.W. ターナー《捕鯨船エレバス号に万歳! もう一頭獲ったぞ!》(展示:1846)キャンバスに油彩 テート美術館 Photo by Tate

「没後30年 菅井汲」(広島県立美術館)

 広島市内にある広島県立美術館で、戦後パリを拠点に世界的な活躍を見せた美術家・菅井汲(1919〜96)の回顧展「没後30年 菅井汲」が開催される。会期は10月2日〜12月6日。

菅井汲《準備完了》(1968) 広島県立美術館

 菅井は、阪急電鉄のデザイナーとしてキャリアをスタートさせた後、1952年に渡仏。東洋的な情調を感じさせる抽象絵画で早くからパリの美術界で注目を集め、世界的評価を確立した。その後も「太陽」やイニシャルの「S」をモチーフにしたシリーズ、徹底的にマチエールを排した幾何学的なスタイルなど、画風を果敢に変貌させながら「未来の美術」を追求し続けた。

 本展は、菅井の没後30年という節目を機に、初期のデザイナー時代から晩年の表現、さらにはその手元に残された貴重なプライベート資料までを一堂に集め、その足跡と素顔に迫る回顧展となる。

会期:2026年10月2日〜12月6日(前期 10月2日〜11月8日 / 後期 11月9日〜12月6日)※会期中一部展示替えあり
会場:広島県立美術館
住所:広島県広島市中区上幟町2-22
電話番号:082-221-6246 
開館時間:9:00~17:00(金〜19:00、10月2日は10:00〜) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休 
料金:一般 1500円 / 高・大学生 1000円 / 小・中学生 700円

「禅とジブリ」(京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ)

 京都市の京都市京セラ美術館で、スタジオジブリが企画制作する「禅」の展覧会「禅とジブリ」が開催される。会期は10月3日〜12月6日。

© 2023 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli

 「禅とジブリ」展は、スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫と禅僧による対談をまとめた書籍『禅とジブリ』(淡交社、2018)を原点とする、ジブリ作品を通して、「禅的なまなざし」に触れることを目的とした体感型の展覧会だ。スタジオジブリの作品の特徴でもある、「善悪を二分しない多義性」「答えを急がない余白」「分からないままに受け取る」姿勢が、禅の「分けない」「決めつけない」「ありのまま観る」という思想と響き合うことから企画された。

 本展は、あえて明確な答えを示さない世界観を描いた宮﨑駿監督の映画『君たちはどう生きるか』(2023)を中心に据えて空間を構成。劇中のセリフやカット、鈴木の書などを通じて、ジブリ作品全体に通底する禅的な「ものの見方」を立体的に浮かび上がらせる。

会期:2026年10月3日〜12月6日
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町124
開館時間:10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし10月12日、11月23日は開館)
料金:一般・大学生 1900円 / 中学・高校生 1500円 / 小学生 1100円

「マリメッコ展 模様のちから」(東京都庭園美術館)

 東京・白金台の東京都庭園美術館で、「マリメッコ展 模様のちから」が開催される。会期は10月3日〜12月20日。

京都会場(京都文化博物館)の展示風景 撮影:編集部

 本展は、フィンランドを代表するデザインハウス「マリメッコ」の美学と、創造の背景を紹介する展覧会となる。1951年の創業以来生み出されてきたプリント・デザインや、そのものづくりの精神に着目する。

 会場では、初期の貴重なドレスから現代のコレクションまで、60点を超えるドレスやファブリック、制作過程を伝える資料を展示する。また、アートユニット・plaplaxによるプリント・ファクトリーの映像インスタレーションを展開するほか、ゲストとして参加するデザイナーの皆川明による新作インスタレーションを公開。アール・デコ装飾を基調とする旧朝香宮邸の建築空間と、マリメッコのプリントが響き合う構成となっている。

会期:2026年10月3日~12月20日
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:10:00~18:00(11月6日、13日、20日、21日、27日、28日、12月4日、5日は〜20:00)※入場は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし10月12日、11月23日は開館)、10月13日、11月24日 
料金:一般 1400円 / 大学生 1120円 / 高校生 700円 / 中学生以下 無料(本展は事前予約制)

企画展示「アイヌ民族と博覧会 ―150年の経験―」(国立歴史民俗博物館)

 千葉・佐倉の国立歴史民俗博物館で、企画展示「アイヌ民族と博覧会 ―150年の経験―」が開催される。会期は10月6日〜11月29日。本展は北海道・白老の国立アイヌ民族博物館との共同企画であり、同館では6月20日~8月23日の会期で開催された。

「大阪・関西万博で披露されたアイヌ舞踊の様子」(2025) 公益財団法人アイヌ民族文化財団

 1872年の湯島聖堂博覧会にアイヌ資料が初めて出品されてから、2025年の大阪・関西万博に至るまで、およそ150年にわたってアイヌ民族は様々なかたちで「博覧会」に関わってきた。博覧会は知識や文化を広める場であるいっぽうで、人や文化を比較し、序列化してしまう場としての側面ももつ。

 アイヌ民族はこういった場への参加にあたって、差別や偏見、優越感を含むまなざしのもとで展示されることもあった。そこには多様な思いや選択、困難や葛藤があったことは想像に難くない。

 本展は、工芸品、写真、絵はがき、書簡、衣装、映像などの約200点に及ぶ資料を展示するほか、博覧会に関わった一人ひとりの「声」を紹介。その経験や思い、交錯する関係性に目を向け、個人にとって博覧会がいかなる場であったのかを考えるものとなる。これまで開催されてきた博覧会に出展・参加したアイヌ民族やその仲介者、さらには「見る側」と「見られる側」の相関関係に焦点を当て、博覧会におけるアイヌ民族の150年にわたる足跡をたどることを試みる。

会期:2026年10月6日〜11月29日
会場:国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B
住所:千葉県佐倉市城内町117 
開館時間:9:30〜16:30 ※入館は16:00まで
休館日:月(ただし月が休日の場合は開館し、翌平日休館)  
料金:一般 1500円 / 大学生 800円