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キュレーターとアーティストが選ぶ、ゴールデンウィークに行きたい世界のアート目的地【2/5ページ】

02. ブリュッセル・ベルギー 選・文=宮澤佳奈(キュレーター)

 ブリュッセルといえば、フランドル美術を思い浮かべる方が多いかもしれない。いっぽうで、現代美術や舞台芸術を含む多様な文化機関が共存することで知られる都市でもある。今年11月には新たな美術館/カルチャー・センター「KANAL-Centre Pompidou」の開館が予定されており、芸術文化都市としての存在感は今後さらに高まっていくだろう。

現地で訪れるべき美術館・ギャラリー・エリア

WIELS

 元ビール工場を改装した現代美術センターで、ブリュッセルの現代美術シーンを語るうえで欠かせない場所である。産業遺産である建物の様々なスペースを活かし、ダイナミックな展示が展開されることも多い。アーティスト・イン・レジデンスも併設され、多様な国籍のアーティストの交流の場として機能している。

WIELSの外観 撮影=筆者

エルメス財団ラ・ヴェリエール

 キュレーターを務めるジョエル・リフが提案するのは、「拡張的個展(extended solo)」というユニークな枠組みである。1人/組のアーティストによる個展でありながら、同時にほかのアーティストの作品や、時代や文脈を超えたオブジェクトが空間に配置され、個展という制度そのものを再考させる試みともいえる。各スペースのキュレーションの独立性を尊重するエルメス財団ならではの実践として、注目したい。

Horst Arts and Music

 ゴールデンウィーク翌週に開催されるこちらは、美術と音楽を横断する「フェス」である。人気DJによるステージと並行して、アーティストによる作品やパフォーマンスが展開される。昨年出展したアーティストのひとりは、自身のインスタレーションの内部でフェス参加者が思い思いに滞在していた様子を楽しげに語っていた。ユースカルチャーの一部としての現代美術を体感する機会にいかがだろうか。

滞在の楽しみ方

 欧州連合(EU)の本拠地があることでも知られるブリュッセルは、国際政治の議論と切っても切れない場所である。しかし、街中では文化芸術の営みがつづき、友達同士がカフェでお茶をしている。世界情勢や環境問題を鑑みると、海外旅行がやけに能天気なものに思えることは事実だ。しかし、美術を見に行くために見知らぬ地を訪れることができるというのは、それ自体、私たちが住む世界の複雑さと豊かさの証明のようにも思える。 

WIELSで開催された「Magical Realism: Imagining Natural Dis/order」展(2025年5月29日〜9月28日)の様子 撮影=筆者
みやざわ・かな

金沢21世紀美術館学芸員。メルボルン大学美術史・人類学専攻卒業。オーストラリアの美術機関、日本のコマーシャルギャラリー等での勤務を経て、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻修士課程修了。2025年より現職。

編集部

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