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キュレーターとアーティストが選ぶ、ゴールデンウィークに行きたい世界のアート目的地【3/5ページ】

03. ダカール・セネガル 選・文=アレクサ・クミコ・ハタナカ(アーティスト)

 ゴールデンウィークの渡航先として、セネガルのダカールをおすすめしたい。今年は第19回を迎えるダカール・ビエンナーレ「Dak’Art」が開催される年であり、同展はアフリカでもっとも長い歴史を持つ現代美術展として、アフリカおよびディアスポラのアーティストに焦点を当ててきた。ゴールデンウィーク期間中は会期外となりますが、ダカールがアート、ファッション、音楽の活気に満ちたハブであることを示す重要な指標である。

ダカールの様子 Photo by Joseph Mpalirwa 写真提供=筆者

現地で訪れるべき美術館・ギャラリー・エリア

RAW Material Company

 まず訪れたいのは、今年の第61回ヴェネチア・ビエンナーレのキュレーターでもある故コヨ・クオが創設した「RAW Material Company」。ここではアーティスト一人ひとりに寄り添ったレジデンス・プログラムが展開されており、トークや展覧会オープニングなど多様なプログラムが頻繁に開催されている。さらに、スタッフが丁寧に紹介してくれる充実したライブラリーも特徴的である。屋外にはリラックスできる開放的なスペースもあり、数時間を過ごすのにも最適な場所だ。彼らの言葉を借りれば、「RAWはアフリカにおける芸術的・知的創造性の理解と発展を促進することを目的とし、そのプログラムは文学、映画、建築、政治、ファッション、食文化、ディアスポラといった多領域から影響を受けている」。

Maison Ousmane Sow

 また、セネガルを代表する彫刻家ウスマン・ソウの旧スタジオを公開した美術館「Maison Ousmane Sow」も必見だ。床や壁には泥や粘土といった素材の痕跡が残り、まるで制作がつい先ほどまで行われていたかのような臨場感が漂う。各部屋には、躍動感あふれる大型彫刻が展示され、アフリカの歴史や物語を力強く語りかけてくる。

Selebe Yoon

 ダカール中心部に位置する「Selebe Yoon」もぜひ訪れたいギャラリー。1952年築のモダンな建築を活用した約1000平米の空間で、近年のダカールにおける新たな動向を体感できる場所だ。オープニングには若いアーティストたちのエネルギーが満ちており、最近ではパップ・ソウレイ・フォール(Pap Souleye Fall)による大規模なサイトスペシフィック・インスタレーション《NITTE MOY GARABAM》(2026)が発表された。キュラトリアルな視点と詩的な表現が融合したプログラムが特徴である。

パップ・ソウレイ・フォール《NITTE MOY GARABAM》(2026)の展示風景 写真提供=筆者

Galerie Atiss

 さらに、ダカールの伝説的なテキスタイルデザイナー、アイサ・ディオンが手がける「Galerie Atiss」もおすすめしたい。ここでは素材やプロセスに深く向き合うアーティストたちを紹介し、伝統工芸と現代表現を横断する実践が展開されている。テキスタイルやインテリアデザインの分野でも知られるディオンの視点は、ダカールで手織りされるアフリカの織物文化を現代的に再解釈するものでもある。彼女のブランド「Aissa Dione Tissus」では、美しい手仕事による衣服やホームウェアも手に入る。

 こうしたテキスタイル文化を背景に、ダカールではファッションも重要な芸術表現のひとつとして展開されている。とくにローカルブランド「Nio Far」は、伝統的なテキスタイルと神話的モチーフを融合させた独自のデザインで注目されている。アトリエ訪問はInstagramアカウント「niofarbymilcos」へのDMで予約可能だ。

滞在の楽しみ方

 アートスポット巡りの合間には、ダカールの豊かな自然や食文化、音楽シーンもぜひ体験したい。クライミングスポット「Mamelles escalade」では、美しい岩場や展望スポット、ビーチから海を楽しむことができる。近隣のAlmadiesエリアには海沿いのシーフードレストランが集まり、とくに牡蠣やウニは絶品である。夜になるとライブ音楽やダンスが始まり、街はさらに活気を増す。

 早い時間帯から楽しめるルーフトップのDJイベント「Trams」も人気のスポットであり、個人的にはアフロポップが中心に流れるクラブ「Patio」がお気に入りだ。ナイトクラブ巡りの締めくくりに最適な場所である。ただし、本格的に盛り上がるのは深夜1〜2時以降である点には注意してほしい。

「THE ART OF BEING, BLACK WOMEN」展(黒人文明博物館)で展示中のアレクサ・クミコ・ハタナカ《crashing》(2025)。ダカールのブラックロック・セネガルでつくられた手漉き紙に藍染めの手法を使い、アバカ、楮、地元の稲わらが用いられている
Alexa kumiko Hatanaka

アーティスト。手漉き和紙や天然染料、リノカット、魚拓など、自身のルーツに基づく伝統的かつ持続可能なクラフト技術を横断的に用いた作品を制作。紙を縫い合わせた彫刻や大規模な版画インスタレーション、協働的なパフォーマンス、ウェアラブルな和紙作品などを通じて、気候変動やメンタルヘルスといった現代的課題に取り組む。カナダ北極圏ヌナブトでのコミュニティに根ざした活動や自身の経験を背景に制作を行う。現在、ダカールの黒人文明博物館で開催中の「THE ART OF BEING, BLACK WOMEN」展に参加しており、第61回ヴェネチア・ビエンナーレにも出展予定。

編集部

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