2018.6.5

アート市場活性化や国立美術館の自己収益増加など記載。政府「未来投資戦略2018」素案まとまる

安倍晋三総理大臣が議長となり、国の成長戦略を話し合う「未来投資会議」が6月4日、新たな戦略となる「未来投資戦略2018」の素案をまとめた。素案の中にはアート市場活性化や国立美術館の自己収益増加などが盛り込まれている。

独立行政法人国立美術館のウェブサイトより

 昨今、美術界を揺るがせている政府の文化芸術戦略。6月4日に公表された「未来投資戦略2018」素案では、どのような文化芸術に関するトピックスが盛り込まれたのだろうか?

 先の未来投資会議構造改革徹底推進会合では、「リーディング・ミュージアム(先進美術館)」という構想が大きな波紋を呼んだ美術館に関する施策案。しかし、この文言は「未来投資戦略2018」素案に盛り込まれていない。

 公開された素案の中では、美術館について「収蔵品等のデータベース化、美術品の収集の活発化等による美術館の価値創造機能の強化」とともに、「アート市場インフラの整備・あり方、日本美術に関する体系的理解の国際的普及等」について、今年中に官民が協議する場を設けて検討するとしている。2019〜25年度までは、この検討を進めるとともに、官民で協議した方針に基づき施策を実施していくという。

 また、国立美術館・博物館に関しては自己収入の増加について言及。その利益を多言語化をはじめ、外国人向けのコンテンツの充実、開館時間の延長や収蔵品の修理等に活用することを掲げている。

 このほか2020年度までの施策として、「メディア芸術の国内外への発信の強化」「美術館や大学等におけるメディア芸術コンテンツのアーカイブ化への支援」なども盛り込まれた今回の素案。これをもとに6月下旬には閣議決定がなされる予定となっている。