ファッションに見る新しい表現(5)
THERIACA
ラビオリなどから抽出するシルエットとは?

アーティストとのコラボレーションも増え、人々のファッションへの受容が拡大する現代。アーティストの美意識や思想に共感し、作品を購入するのと同じ意識で自身の衣服を選ぶ人も多いのではないか。このシリーズでは、ファッションの新境地を追求する気鋭のブランドを紹介していく。第5回は、昨年夏に島根県立石見美術館で初となる大規模展覧会を開催し、神戸への巡回も決定しているベルリンのファッションレーベル「THERIACA」について取り上げる。

THERIACA Carpet 2018 Photo by Katsumi Omori, Hair Styling Yasuhiro Hara(LIM), Make-up Hikari Kanzaki(LIM), Model Shin Lee

 「THERIACA(テリアカ)」は、ベルリンを拠点に活動を展開するファッションデザイナー・濱田明日香が、14年のロンドン芸術大学在学中に設立したファッションレーベル。万能解毒剤の名前を引用したというブランド名には「作品が人のコンディションをポジティブに転換する力となるように」という濱田の願いが込められている。

 当初より流行や利便性を追うのではなく「着た人が自分らしくいるために必要とされる服」を目指し、服づくりの基準とされる「人」のかたちから離れたクリエーションを展開してきたTHERIACA。2018年夏には、島根県立石見美術館で初となる大規模展覧会「THERIACA 服のかたち/体のかたち」を開催し、大きな反響を呼んだ。

THERIACA Ladder 2018
Photo by Katsumi Omori, Hair Styling Yasuhiro Hara(LIM),
Make-up Hikari Kanzaki(LIM), Model Shin Lee

 そして今回、同展は神戸のKIITOに巡回。神戸展は、同展から抜粋した作品群と、写真家の大森克己がとらえた着用風景のスライドショーを、KIITOの特徴的な空間にあわせて再構成した内容となる。展示作品は、人のかたちではなく、ダンベルやはしご、ラビオリといった身近な「もの」のかたちから着想を得たユニークなシルエットやドレープを持つもの。その実験精神あふれる作品群は、「衣服」という言葉からイメージできる範囲を押し広げ、見る者に「衣」への新たな視点を与えてくれるだろう。

THERIACA Volleryball 2018
Photo by Katsumi Omori, Hair Styling Yasuhiro Hara(LIM),
Make-up Hikari Kanzaki(LIM), Model Shin Lee