ファッションに見る新しい表現(4)
「TARO HORIUCHI」
オキーフら女性作家の力強さをフィーチャー
アーティストとのコラボレーションも増え、人々のファッションへの受容が拡大する現代。アーティストの美意識や思想に共感し、作品を購入するのと同じ意識で自身の衣服を選ぶ人も多いのではないか。このシリーズでは、ファッションの新境地を追求する気鋭のブランドを紹介していく。第4回は、2019年春夏から継続してジョージア・オキーフら女性作家をフィーチャーしている「TARO HORIUCHI」について取り上げる。
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東京のファッション業界を牽引するデザイナーのひとり、堀内太郎。堀内は2007年にアントワープ王立美術アカデミーを首席で卒業後、10年の春夏コレクションから自身のブランド「TARO HORIUCHI」をスタート。12年には第30回毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞を受賞し、18年には自身初のメンズライン「th」を新たに立ち上げた。
19年には、北欧デンマークの家具ブランド「フリッツ・ハンセン」とコラボレーション。伝統的な織物技術の歴史と工程そのものにインスピレーションを得て製作した生地を、同ブランドの名作《エッグ・チェア》に張り込み、話題を集めた。
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そんなTARO HORIUCHIの19年秋冬コレクションが発表された。「Pale Fogged Vision」と題された同コレクションは、春夏に引き続き、女性アーティストのジョージア・オキーフが淡い色彩で描いた花や骨、風景などを表現したもの。堀内は、その繊細で危うげなカラーリングにパイソン柄やメタリックな質感の素材を組み合わせることで、女性アーティストの繊細さと力強さを象徴することを試みた。オキーフがよく身に着けていたという黒い衣服から着想を得た漆黒のアイテムも目を惹く。
オキーフと同じく女性アーティストのユリヤ・グリャノヴァとのコラボレーションも継続。今季コレクションでグリャノヴァは、オキーフと暮らしていたネコを書き下ろし、シャツやブラウスの生地としている。また、ロンドン在住の女性アーティスト、クラウス・J・シュミッドが「夢の風景」をイメージして描いた格子柄も、スカートなどに採用している。堀内が3名を選んだ鍵は何か。袖を通しアートを肌で感じることで、深い洞察を得たい。
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