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2019.3.4

「坂田稔-『造型写真』の行方」から「霧の抵抗 中谷芙二子」まで。2月のレビューをプレイバック

美術手帖では批評家や学芸員などよる展覧会レビューを毎月掲載している。そのなかから、2月に公開された6本をピックアップしてお届け。各レビューの詳細はリンクから全文をチェックしてほしい。

坂田稔 題不詳(日本碍子に於ける放電実験) 1950年代半ば頃 オリジナルネガからのインクジェット・プリント
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副田一穂評 「坂田稔-『造型写真』の行方」

 1930年代から名古屋を拠点として活躍した写真家・坂田稔は、当時の前衛写真運動を牽引し、独自の写真論を展開した。30年代末からは民俗学へと至り、「常民」の生活を取材。名古屋市美術館の常設企画展として開催された本展「坂田稔-『造型写真』の行方」は、これまで知られることのなかった前衛のその後の活動を、遺されたプリントとネガからたどるもの。愛知県美術館学芸員の副田一穂が論じる。

展示風景より。1942〜44年頃のオリジナルネガからプリントされた《題不詳(ジャワ)》

gnck評 「あそぶ!ゲーム展 ステージ3:デジタルゲーム ミレニアム」と「イン・ア・ゲームスケープ:ヴィデオ・ゲームの風景、リアリティ、物語、自我」

 ヴィデオ・ゲームの芸術性に注目した展覧会「イン・ア・ゲームスケープ:ヴィデオ・ゲームの風景、リアリティ、物語、自我」 (NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] )と、1991年から2001年までのデジタルゲームに焦点を当てた「あそぶ!ゲーム展 ステージ3:デジタルゲーム ミレニアム」(SKIPシティ映像ミュージアム)を、評論家のgnckがレビュー。ゲームの展示に含まれる「没入」と「反省」という鑑賞体験を手がかりに、2つの展覧会を読み解く。

山内祥太 ZONE EATER 2017 撮影=木奥惠三 写真提供=NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]

菅原伸也評「Oh!マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー」

 平成最後の年に兵庫県立美術館で始まった「Oh!マツリ☆ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー」。本展では、昭和から平成にかけて生み出された、社会的関心が色濃く反映された作品の数々を展示。「特別な存在(ヒーロー、カリスマ、正義の味方)」と「無名の人々(公衆、民衆、群集)」という対照的な人間のあり方に焦点を当てた本展を、美術批評家の菅原伸也がレビューする。

展示風景

仲山ひふみ評 小宮麻吏奈展「−ATCG」/鈴木操展「open the door, 」/「孤独の地図」展

 昨年末、ともに東京で、小宮麻吏奈と鈴木操による個展、そして布施琳太郎のキュレーションによるグループ展が開催された。同世代に属し、ともにコレクティブシーンのなかで活動する彼らの問題意識とその背景をいかに読み解くか。若手批評家の仲山ひふみが横断的に論じる。

「孤独の地図」展より作品配置図 撮影=岩崎広大

長谷川新評 佐藤朋子展「103系統のケンタウロス」

 1月19日と20日の2日間限定で横浜で開催された佐藤朋子展「103系統のケンタウロス」。本展の来場者は、それぞれ会場から数分歩いたバス停から103系統のバスに乗り、作家によるレクチャー音声を聴きながら終点まで向かうよう指示された。「レクチャーパフォーマンスとは何か」を問いかけ、さらにその欠点を露わにした本展を、インディペンデント・キュレーターの長谷川新がレビューする。

展示風景 撮影=大塚敬太

飯田豊評「霧の抵抗 中谷芙二子」

 「霧のアーティスト」として世界的に知られるいっぽう、社会を鋭く見つめたビデオアートの制作や、ビデオを用いた表現を行う若手作家の発掘と支援に尽力した中谷芙二子。水戸芸術館現代美術ギャラリーで行われた日本初となる大規模個展を、社会学者の飯田豊が読み解く。

水戸芸術館広場での展示風景 撮影=山中慎太郎(Qsyum!) 写真提供=水戸芸術館現代美術センター