古代の詩から、現代の若者と移民の肖像へ
過去と現在の関係を、異なる方法で探るのがスイ・タカだ。スイは、アメリカで写真を学んでいた際に自国の文化を見つめ直すようになり、中国最古の詩集『詩経』に関心を持った。約2500年前の詩に詠まれた土地は、現在どのような風景になっているのか。その問いから、詩の舞台となった場所を調査し、実際に訪ねて撮影する「Odes」を2009年に開始した。

会場には、写真とともに調査資料も展示される。スイによれば、古代の地名や場所を特定するためには文献や考古学的な資料を参照する必要があり、新たな研究成果が発表されるたびにプロジェクトも更新されてきたという。

例えば、川に灯籠を流す様子を長時間露光で捉えた作品では、光の軌跡が暗い水面に浮かび上がる。古代の詩に記された風景と、現在も続く人々の営みが、ひとつの写真のなかで重なり合う。スイは、古代と現代の境界が曖昧になるような時間感覚に魅力を感じていると語った。
いっぽう、ルオ・ヤンが見つめるのは、同時代を生きる人々の姿だ。大学在学中に始めた「Girls」シリーズは、身近な友人や同級生を撮影することから出発し、その後、中国各地の1980年代生まれの女性たちへと対象を広げてきた。初期から撮影してきた女性たちは、結婚や出産、離婚など、様々な人生の変化を経験している。長期にわたる撮影は、そうした個々の人生の軌跡を見つめる行為にもなっている。

また、1990年代後半以降に生まれた若者を撮影する「Youth」シリーズでは、インターネットの普及とともに自己表現の方法を変化させてきた新たな世代に目を向ける。さらに、近年の「Diaspora Birds」では、ヨーロッパなどに暮らすアジア系移民を被写体としている。制作のきっかけとなったのは、パリのチャイナタウンで目にした、故郷の文化や記憶をとどめる食べ物、商品、看板などだったという。移住先で複数の文化のあいだを生きる人々を撮影することで、帰属意識やアイデンティティの複雑さを探っている。




















