天王洲エリア(アイルしながわ、WHAT MUSEUM)
かつて都市のごみ集積場として使用されていた施設「アイルしながわ」。再開発によって周辺には広場や遊歩道が整備され、現在はアート活動やパラスポーツの施設としても活用されている。
人工的な構造物と天王洲アイルの運河、そしてかつての用途の名残が混ざり合うこの場所では、笹岡由梨子、盛圭太、キムスージャらの作品が並ぶ。


笹岡由梨子は、演劇の仮設小劇場をモチーフにした映像インスタレーションを出品。ごみ集積場という文脈を活かし、ゴミの再生と消化をテーマにした「胃の中に食べ物が降ってくる」というストーリーを展開する。

糸や紙を用いたドローイング作品を手がける盛圭太は、白い空間に糸のドローイングが広がるインスタレーションを制作した。暗闇のなか、糸を手繰り寄せながら作品へと辿り着く鑑賞体験は、作家の制作プロセスをそのまま追体験させるかのようだ。

Kimsooja 撮影:守屋友樹 写真提供:国際美術展「TOKYO ATLAS」広報事務局
さらに同会場には、ソウルを拠点とするキムスージャの映像シリーズ「A Needle Woman」(1999〜2001)も展示されている。都市の雑踏にただ佇む自らの姿を通じ、個人と社会、移動と定住、あるいは異文化の交差を問いかける。
関連企画「座標:東京都による支援作家たちの現在地」
同じく天王洲エリアに位置するWHAT MUSEUMでは、これまで都が支援してきたアーティストやキュレーターを紹介し、その現在地を国際展の舞台で提示する関連企画を展開。新たな「座標」を描き出す試みだ。

1階では、アーツカウンシル東京の「アートマネジメント人材等海外派遣プログラム」を経たキュレーター陣による企画を展示。2階ではトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)協力のもと、関連プログラムに参加してきたアーティストたちの展覧会を開催している。東京という場所性を掘り下げた作品から、個の関心を突き詰め新たな表現を模索した作品まで、見応えのあるアプローチが並ぶ。こちらもぜひ足を運びたいスポットだ。

人々の営みと国際的な文化の潮流、そして自然と人工が重なり合う東京湾岸エリア。重層的な歴史を織りなすこの場所に配されたアートは、土地の記憶や魅力を咀嚼し、現代のまなざしで捉え直すための媒介として存在していた。タイトルに掲げられた「ATLAS(地図帳)」が示す通り、本展は東京の秘めたる可能性を多角的に浮かび上がらせている。都市の未来を紡ぐ新たな試みとして、この美術展が今後も続いていくことに期待したい。



















