Chim↑Pomら4組が宮島・大聖院に集結。アートを通じて平和と祈りを考える「MAFIN 2026」が開催へ

広島・宮島の大聖院を舞台とするアートプロジェクト「MAFIN 2026」が、11月20日〜12月13日に開催される。「時の目」をテーマに、Chim↑Pom from Smappa!Group、金沢寿美、久保寛子、イェラシェビッチ・イリヤの4組が参加する。

久保寛子《森の目》2024  撮影:下田学

 広島県廿日市市の宮島を舞台とするアートプロジェクト「MAFIN 2026(Miyajima Art Festival in the Narrative 2026)」が開催される。会期は11月20日〜12月13日。会場は宮島弥山大本山 大聖院で、キュレーションは戸塚愛美が務める。

現代アートを通じて平和や祈りのあり方を再考

 「MAFIN」は、被爆80年の節目となった2025年に始動したアートプロジェクト。約1200年の歴史を持つ大聖院を起点に、宮島の歴史や記憶、人々の営みを「ナラティブ(語り/物語)」として捉え直し、現代アートを通じて平和や祈りのあり方を再考することを目指している。

 宮島の霊峰・弥山には、空海の時代から約1200年にわたって灯り続けてきたと伝えられる「消えずの火」がある。この火は広島平和記念公園にある「平和の灯」の火種にもなっており、宮島と広島の歴史をつなぐ象徴的な存在だ。

 2回目となる今回は、「時の目―普遍的で、久遠の、平和のためのプロセス」をテーマに掲げる。AIの発達によって即座に答えを得られる現代社会において、「答えのない問いの前に立ち止まる時間=祈り」の意味を問い直す試みだ。参加アーティストは、Chim↑Pom from Smappa!Group、金沢寿美、久保寛子、イェラシェビッチ・イリヤの4組。

Chim↑Pom from Smappa!Group「広島!!!!!展」(旧日本銀行広島支店、2013) 撮影:森田兼次 Courtesy of the artist

 Chim↑Pom from Smappa!Groupは、《よい火、わるい火、ふつうの火》を発表する。大聖院に伝わる「消えずの火」、広島の原爆の残り火である「平和の火」、そして特定の文脈を持たずに灯された火を題材に、それぞれの火が歴史や信仰、見る人の立場によって異なる意味を帯びることを問いかける。同グループは2013年に旧日本銀行広島支店で「広島!!!!!展」を開催したほか、2014年には大聖院で大量の折り鶴のお焚き上げを行うなど、広島との関わりを重ねてきた。

金沢寿美《新聞紙のドローイング》 「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」(森美術館、2022) 撮影:来田 猛 画像提供:森美術館

 金沢寿美は、《宙と空》を展示。新聞紙を黒鉛で塗りつぶすライフワーク「新聞紙のドローイング」約100枚によるインスタレーションと、2019年以降、毎年8月6日〜10日の期間にのみ描いてきた、原爆をテーマとするドローイング作品を紹介する。

久保寛子《森の目》2024  撮影:下田学

 広島出身の彫刻家・久保寛子は、複数の瞳を配した《森の目》(2024)を出品する。農や先史時代の芸術、民俗学などを参照しながら、ブルーシートや防風ネットといった工業製品を用いて制作する久保。本作では、南方熊楠による知の探究にも着想を得ながら、大聖院を取り巻く自然環境との関係を探る。

イェラシェビッチ・イリヤ《re-main》(2023)

 また、ベラルーシ出身で、日本画の技法や素材を用いて社会的課題に取り組むイェラシェビッチ・イリヤは、《漂う光》を発表。キリスト教のイコンや仏教彫刻を参照した金箔の人物像と、その人型が取り外された後に残る空白を通じて、時間や記憶、不在を表現する。

 さらに、会期中の11月22日には、広島・尾道出身の音楽家・冥丁による特別公演「奉納演奏 於 大聖院 観音堂」も開催される。日本の忘れられた文化や感性を「失日本」として音楽で表現してきた冥丁が、約1200年にわたり祈りが重ねられてきた大聖院で奉納演奏を行う。

 長い時間のなかで積み重ねられてきた信仰と記憶を、現代アートはいかに捉え直すことができるのか。歴史ある寺院を舞台に、平和と祈りをめぐる新たな問いが投げかけられる。