最後に残る「光」
そして5階「光と影──像を手放す場所へ」に到達すると、それまで展示を導いてきた具象的なイメージは大きく後退する。
ダン・フレイヴィン、オラファー・エリアソン、アリシア・クワデ、ラティファ・エシャック、ミヤ・アンドウ、フランシス真悟、和田礼治郎らの作品を通して前景化するのは、光、反射、影、時間といった現象そのものだ。

ラティファ・エシャックの《Entre la nuit et l’aurore (Between night and dawn)》(2025)は、ナイロンに通されたガラスビーズによって、夜から暁へと移行する微細な時間を表現する。鑑賞者が作品の周囲を移動すると、ビーズに反射する光も変化し、「夜」と「暁」のあいだにある時間の揺らぎが身体的な経験として立ち上がる。
さらにオラファー・エリアソンの《Shadow lamp》(2005)や《Holo Lamp》(2005)では、光と影は何かを描写するための手段ではなく、それ自体が作品となる。地下から積み重ねられてきた風景、都市、人物といった「像」は、ここでついに具体的な対象から解放される。長谷川が語ったように、鑑賞者自身の位置や身体の動きによって、見える色や反射、光は刻々と変化する。見る対象だけではなく、「見る」という経験そのものが展示の最終的な主題として残される。
また今回、6階では陶芸家・建築家の奈良祐希がキュレーションを手がける茶陶と現代陶芸展「時のうつほ」も同時にスタートした。茶の湯の伝統と現代アートの交差をテーマとする新たな取り組みで、樂一入(四代)、大樋芳土庵(初代)からシアスター・ゲイツ、桑田卓郎、安永正臣、奈良自身まで、17作家による作品を紹介する。器を外形ではなく、その内部に抱かれた「空=うつほ」から捉え直す試みだ。
植島は開幕に際し、今年新設した茶室で、一般来場者が自ら抹茶を点てる体験も提供していることに触れ、現代アートと伝統的な茶器、現代の陶芸をあわせて楽しんでほしいと語った。



















