EXHIBITIONS

飯沼珠実 個展『Salut, Mr Bruno Taut』

2026.08.29 - 09.26

Wohnanlage Ossastrasse "from the series Salut, Mr Bruno Taut" (2010) archival pigment print 841 × 594 mm
©Tamami Iinuma, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

 東京・表参道のKANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYで、写真家・飯沼珠実による個展「Salut, Mr Bruno Taut」が開催されている。会期は9月26日まで。

 飯沼は東京都世田谷区生まれ。「建築の建築」をテーマに、人々の記憶の集積としての建築物や、建築物の住処としての都市や風景を撮影してきた。2018年に東京藝術大学大学院博士後期課程を修了し、2020年には版元「建築の建築」を設立した。ライプツィヒ、パリでの滞在を経て、現在は東京を拠点に活動する。

 本展は、同名写真集『Salut, Mr Bruno Taut』の刊行を記念した展覧会。ブルーノ・タウトが1920年から30年代にドイツで手がけたジードルング(集合住宅)を被写体に、2010年から14年にかけてベルリンとマクデブルクで撮影された作品を展示している。

 壁面の色彩や窓辺の気配、塗り替えられた跡、建物とともに成長した木々などの細部を通して、近代建築が人々の暮らしのなかで使われ続けてきた時間の蓄積に目を向ける。既存の建築写真から距離を置き、タウトへ手紙やポストカードを送るような感覚で撮影された写真は、建築をめぐるスケッチとしての性格を帯びている。

 また、中判フィルムカメラからデジタルへの移行という制作過程の変化や、ベルリンの曇天と建物の鮮やかな色彩が生み出すコントラストも、本シリーズをかたちづくる要素となっている。異なる時代と土地を生きたタウトと飯沼の視線が、建築と都市の風景を介して交差する作品群を展観する。