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オラファー・エリアソン

Olafur Eliasson

撮影=稲葉真

 オラファー エリアソンは1967年デンマーク・コペンハーゲン生まれ。王立デンマーク芸術アカデミーで学び、現在はベルリンとコペンハーゲンを拠点に活動。空間、光、水、霧などの自然界の要素を巧みに用いて、人間の知覚の仕組みや認識を問い直すような作品を制作。95年の第46回ヴェネチア・ビエンナーレ以来、数多くの個展を開催し、世界各地でグループ展や国際展などに参加。2003年にロンドンのテート・モダン内タービン・ホールで人工の太陽と霧を出現させた個展「The Weather Project」が成功を収め、話題を呼んだ。

 08年には総制作費約17億円をかけ、ニューヨークのダウンタウンエリアのイースト川に4つの巨大な人工滝を突如出現させる《ザ・ニューヨークシティ・ウォーターフォールズ》を制作。この制作過程の密着取材に加え、ベルリンにあるスタジオの様子や金沢21世紀美術館で行われた個展「オラファー・エリアソン—あなたが出会うとき」(2009-10)の展示風景などを記録したドキュメンタリー映画『オラファー・エリアソン 視覚と知覚』が09年に公開。また、16年にはヴェルサイユ宮殿にて個展を開催し、鏡と光を介した身体的経験によって鑑賞者の意識の変化を促した。

 瀬戸内国際芸術祭2016ではベネッセアートサイト直島の一環である犬島「家プロジェクト」において、鏡の配置が鑑賞者の知覚に作用する作品《Self-loop》を発表。ヨコハマトリエンナーレ2017に参加した際は、世界中の難民や移民へ向けた作品《Green light》を出展。18年にはスタジオ・オラファー・エリアソンのベジタリアンレシピを紹介した料理書『スタジオ・オラファー・エリアソン キッチン』の日本語版が美術出版社より出版された。