本展オリジナルポスターも
なかでも見どころとなるのが、「SUGIMOTO PORTRAITS」展(ドイツ・グッゲンハイム美術館、2000)のために制作された7枚組のポスターだ。同展は、歴史上の人物を等身大で再現した蝋人形を撮影する「ポートレイト」シリーズが世界で初めて発表された展覧会。ポスターには、ヘンリー8世とその6人の妃を撮影した7点がそれぞれ採用されている。

「杉本博司 絶滅写真」展では、このうちヘンリー8世をとらえた作品が展示されており、ふたつの展覧会をあわせて見ることで、6人の妃のイメージを補完的にたどることができる点も興味深い。
会場にはこのほか、1987年に撮影された《日本海、隠岐》を用いた本展のオリジナルポスターも展示されている。同じ写真を、ラフ・グロス紙、非塗工紙、塗工紙という性質の異なる3種類の紙に印刷したもので、海と空の繊細な階調をトリプルトーン印刷によって表現。紙の白さや光沢、表面の質感の違いによって、写真の奥行きやコントラスト、静謐な空気感が微妙に変化する様子を見比べることができる。

写真は画像としてのみ存在するのではなく、紙に刷られることで固有の物質性を獲得する。本展は、杉本の展覧会史を振り返ると同時に、一枚の写真が紙と印刷の選択によって新たな表情をまとい、ポスターという別の作品へと展開していく過程を示すものとなっている。
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