東京・虎ノ門ヒルズにあるTOKYO NODEで、アメリカを代表するメディア・アーティストのひとり、トニー・アウスラーの日本初となる大規模個展「トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~」が開幕した。会期は9月27日まで。
「技術と霊知のはざま」を横断する、日本初の大規模個展
アウスラーは1980年代より、映像をスクリーンから解放し、人形や立体物、建築空間へと投影する独自の表現を切り開いてきた作家だ。映像、彫刻、音響、光を組み合わせたインスタレーションによって、テクノロジーと身体、現実と虚構、科学とオカルトといった境界を横断しながら、人間の知覚や信念のあり方を問い続けてきた。ニューヨーク近代美術館(MoMA)やポンピドゥー・センターなど世界各地で個展を開催してきたいっぽう、日本ではまとまった規模で作品を紹介する機会はこれまでほとんどなかった。
本展では、初期作から新作まで49点を紹介。その半数以上が日本初公開となるほか、デヴィッド・ボウイ、グレン・ブランカとの共同プロジェクト《空(くう)》(2000)が約四半世紀を経て世界初公開される。また、本展のために制作された大型新作《キメラ》(2026)に加え、アウスラーが長年にわたり収集してきた3000点以上に及ぶリサーチ・アーカイブのなかから選ばれた資料も展示され、40年以上にわたる制作の軌跡を多角的にたどることができる。

共同キュレーターのアリス・ニェン=プー・コーは、本展タイトルについて、「『Tech(技術)』はテクノロジーをたんなる道具ではなく、人間の認識や創造性を拡張するものとして捉える視点を示し、『Gnosis(霊知)』は理性的・科学的知識だけではなく、経験や直感を通して獲得される知を意味します」と説明。「本展は1970年代からAI時代まで、アウスラーがテクノロジーとどのように向き合ってきたかをたどる展覧会でもあります」と、そのコンセプトを語った。
共同キュレーターの椿玲子は、「トニー・アウスラーの作品は、『見ること』や『信じること』そのものを問い直すものです。怖い、不思議、可愛い、気持ち悪い──まずはそうした感覚をそのまま楽しんでいただければ」と来場者に呼びかけた。

































