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「トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま」(TOKYO NODE)開幕レポート。デヴィッド・ボウイとの未完プロジェクトも世界初公開【2/3ページ】

「見ること」と「信じること」を問い続ける作品群

 会場は、巨大な「眼」が暗闇に浮かぶ《スペキュラー》(2021)から始まる。大小様々な眼球が空間に点在し、その表面には絶えず映像が投影される。鑑賞者は作品を見つめると同時に、無数の視線から見返されるような感覚に包まれ、「見る/見られる」という関係そのものを身体的に経験する。椿は、「眼はアウスラーにとって非常に重要なモチーフです。それはニュースやSNSを見続ける私たち自身の姿でもあります」と説明し、作品が監視社会や情報環境への批評的な視点も内包していることを紹介した。

巨大な「眼」が暗闇に浮かぶ《スペキュラー》(2021)

 続く新作《星》(2026)は、日本の心理学者・福来友吉による「千里眼」研究や、アメリカ中央情報局 (CIA)の遠隔透視計画に参加した超能力者インゴ・スワンなどを参照した作品だ。星形の立体作品と猫の彫刻が組み合わせれており、科学と超常現象、心理学と神秘思想の境界を往還する。猫はエジプト神話の守護神であると同時に、生と死という2つの状況が同居する思考実験「シュレーディンガーの猫」や日本の妖怪である化け猫など、多様な文化圏を横断する存在として位置づけられている。

新作《星》(2026)
左から《C>o++》(2017)、《MUR(dusk)》(2022)、《isome》(2024)

 《MUR(dusk)》(2022)、《C>o++》(2017)は、ロールシャッハ・テストや顔認証アルゴリズムを題材に、人間がいかにイメージへ意味を与え、個人がデータへと還元されていくのかを提示する。《失われた時間》(1996)は、家具の下に潜り込み独白を続ける人形を通して、家庭空間のなかで形成されるアイデンティティや多重人格的な自己を示唆する作品だ。

編集部