第4章 羨望の住処―明治の洋風邸宅
最後の章では、皇族や上流階級のために建てられた洋風邸宅に光を当てる。

明治の建築家たちにとって、国家を飾る公共建築だけでなく、邸宅もまた重要な創作の場だった。とりわけジョサイア・コンドルは邸宅建築を得意とし、有栖川宮邸などを手がけた。こうした洋館は、限られた人々の住まいであると同時に、明治の東京を華やかに彩る「羨望の住処」でもあった。
会場では、コンドルによる岩崎家弥之助深川別邸や岩崎久弥邸洋館などの平面図・立面図をはじめ、有栖川宮邸の舞踏室で使われた長椅子、片山東熊が手がけた東宮御所(現・迎賓館赤坂離宮)の写真・家具などを展示。古写真や絵画資料、現存家具、空間再現を通じて、洋館がたんなる建築様式ではなく、新しい暮らしや社交文化の象徴でもあったことを伝えている。


本展が描き出すのはただの建築史ではない。そこにあるのは、西洋の文化様式への変化を迫られた日本人が、それを模倣し、学び、やがて自らのものへと変えていった近代化の物語だ。図面や模型といった専門的資料だけでなく、パノラマ的な空間演出によって当時の都市の空気感まで再現しようとする展示手法は、建築に詳しくない来場者にも明治という時代の熱気を伝えてくれる。



















