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「内間安瑆・俊子展 色を織り、記憶を紡ぐ」(神奈川県立近代美術館 葉山)会場レポート。日米を舞台に深化を遂げた独自の美学
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第2章:60〜70年代

 安瑆の第2章「版による空間表現の探究[1960-1976]」では、59年に帰米した後、アメリカ国内外での版画展を中心に出品を重ねていた60年代以降の作品が紹介されている。この頃、70年の第35回ヴェネチア・ビエンナーレに出品された作品のひとつである《Misty Morn》(1964)に見られるように、複数の版や落ち着いたトーンの色彩によって抽象的な作品を手がける。安瑆は長谷川等伯の影響を受けたことを自身で明らかにしており、間や余白を重視した日本的な美的感覚、墨の濃淡で遠近感を表現する水墨画の手法を取り入れようとしていたことが推察できる。

内間安瑆《Misty Morn》(1964)52.2×40.6cm 紙に多色木版 個人蔵
安瑆の第2章「版による空間表現の探究[1960-1976]」の展示風景

 その後作風はさらに展開し、74年に制作した《Space Poem (A)》(1974)をはじめとして、次第に作品は明るい色彩で構成されていく。会場には、この時代に版画作品を制作する前に描いていた鉛筆や水彩によるドローイングも紹介されており、安瑆が版画制作にあたって緻密に計画を練っていたことがうかがえる。

 俊子の第2章「木版画の時代[1956-1968]」では、56〜66年に活動を行っていた女流版画会での活動を中心に紹介している。会のメンバーは、𠮷田千鶴子、岩見禮花、小林ドンゲ、野中ユリら9名。59年にアメリカに渡ってからは、女流版画会の海外展の開催にも貢献した。

内間俊子《愛の讃歌》(1957)60.1×45.2cm 紙に多色木版 個人蔵

 俊子の初期の木版画作品のテーマは、生物と植物を掛けあわせたような有機的な形体から展開したものが多い。しかしその後、千鳥格子を変形させた模様を多く用いたり、風景や建物、また日用品などの描写を主体とする作風に変化していく。最後の木版画作品と言われる《ノクターン》(1967)には、レースが版の一部として用いられているが、翌年に制作された同タイトルの作品ではレースそのものをコラージュしている。木版画からコラージュへ移行する過程が垣間見える貴重な作品だ。

左:内間俊子《ノクターン》(1968)39.4×38cm コラージュ、紙に水彩 右:内間俊子《ノクターン》(1967)58.2×39.6cm 紙に多色木版 個人蔵 

編集部