次世代へと開かれる創造──東京都現代美術館での大規模展覧会
こうした長年の実践を総覧するのが、東京都現代美術館で開催される「(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO ―新説/真説 コシノヒロコ―」だ。本展は、ファッションにとどまらず、絵画、音楽、映像、インスタレーションなど多領域にわたる約400点の作品・資料を通じて、その創造の全貌に迫る過去最大規模の試みとなる。


半世紀以上にわたるキャリアを、5つの章構成で立体的に提示し、時代ごとの社会背景や芸術動向と重ね合わせながら、「なぜその表現が生まれたのか」「いまどのような意味を持つのか」を問い直す。ファッションと絵画が交差する吹き抜け空間や、鏡面を用いた展示構成によって、作品と鑑賞者、空間が相互に反射し合うダイナミックな体験が生み出される予定だ。


さらに、パリを拠点に活動するアーティスト、マティルド・ドゥニーズとのコラボレーションも大きな注目点だ。今回発表される《Where Stories Linger》は、ドゥニーズが展開してきた彫刻的な縫製作品の実践を基盤とするもので、各10点から成る2群のインスタレーションには、コシノの過去のコレクションに用いられた衣服やテキスタイルが素材として取り入れられ、アーティストの実践とデザイナーのアーカイブとのあいだに新たな対話が生み出されるという。
またコシノは、自身の美学を育んでくれた祖父と母、そして未来への恩返しとして、東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団が実施する「ネクスト・クリエイション・プログラム こどもファッションプロジェクト」を監修している。本展では、同プロジェクトで制作された作品展示を通して、子供たち一人ひとりの感性や才能とコシノの出会いを取り上げられる。
「自分のことを知らない人たちに届けたい」というコシノの言葉どおり、本展は回顧にとどまらず、未来へ向けた開かれたプロジェクトとして位置づけられている。「作品を見せるのではなく、次の世代がどう受け取るか」。その視線は、常に未来へと向けられている。




















