絵画はファッションのようなもの
KHギャラリーに並ぶ様々な作品のなかでも、とくに印象的だったのが、大空間の壁面に並ぶ72.8センチ四方の絵画群「3COLORS」シリーズ(2024)だ。各作品は基本的に3色という制約のもとで構成され、色彩そのものが主役として際立つ。色と色は対立し、調和し、あるいは緊張関係を生み出す。これらは「閃きの具現化」を鍛えるためのトレーニングとして描かれたというが、その反復のなかで色彩の精度は極限まで研ぎ澄まされている。


また、円弧状の壁とスリット状の開口が特徴的な元寝室は、自然光のみで作品が鑑賞できる場所。時間帯によって移ろう光が絵画の表情を変え、空間全体がまるでひとつのインスタレーションのようだ。
コシノにとって絵画とは何か。それは固定されたスタイルを追求するものではない。「そのときの環境や精神状態によって変わる、ファッションのようなもの」と語るように、コシノの絵画とファッションは分かちがたく結びついている。実際、作品には過去のコレクションで使用した衣装の端切れが用いられることもある。それは「洋服を絵画として永遠に残したい」という意志の表れであり、素材と表現の往還が彼女の創作を支えている。


幼少期から続く描画体験もその根底にある。3歳の頃、歌舞伎の舞台を観て、アスファルトに蝋石で絵を描いていた記憶。あるいは母に買ってもらった48色のパステル。そして日本の古典文化に触れてきた経験は、現在の表現にも通底している。
「ファッションは生き方そのもの」。そう語るコシノにとって、デザインとはたんなる造形ではなく、時代との応答であり、思考の軌跡でもある。テキスタイルから発想し、そこから衣服のかたちを導き出すプロセスもまた、彼女の創作哲学を象徴している。



















