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「ためして、みる展」(滋賀県立美術館)開幕レポート。10の「トライ」から新たな鑑賞体験を提案【3/3ページ】

マルセル・デュシャンの作品をバラす?

 さらに刺激的な体験として挙げたいのが「なかみをぜんぶバラして見る」だ。ここでは、マルセル・デュシャンによる、自身の主要作品のミニチュアなどを収めた作品《トランクの中の箱》(1955〜68)が展示されている。ここで驚くのは、鑑賞者がそのレプリカを実際に手に取り、中身を一つひとつ確認できる点だ。「持ち運びできる小さな美術館」として構想された本作を、自らの手で紐解く体験は非常に貴重といえるだろう。

No.19「マルセル・デュシャン《トランクの中の箱》」の複製品(2003 / 2020)。自身の手でバラしていくことで、作品の詳細や内部の細かな仕立てについても確認することができる

 また、「光をかえて見る」というトライも興味深い。作品の前に設置されたスイッチを操作することで、照明を変化させながら鑑賞できる。通常、美術館の照明は固定されているが、自らのアクションで暗闇に浮かび上がらせたり、ライティングを変えたりすることで、作品の新たな一面を発見することが可能だ。

奥村土牛の《シルバー タビー》(1966)。光を当てることで手前の猫が浮かび上がるような変化を楽しむことができる

 滋賀県立美術館はリニューアル以降、教育普及プログラムにも注力しており、2024年3月策定の「滋賀県立美術館魅力向上ビジョン」では、「子どもも大人も来たくなる 未来をひらく美術館」を掲げている。

 さらに今年3月31日には「滋賀県立美術館整備基本計画」が策定され、「キッズアートセンター」の設立と、その活動を美術館の核に据えることが明記された。今回の展覧会が提示していた「誰もに開かれた自由な鑑賞体験」こそが、これからの同館が目指す方向性を象徴しているように感じられた。

編集部

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