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「生誕1200年 歌仙 在原業平と伊勢物語」(三井記念美術館)開幕レポート。業平と『伊勢物語』が日本の美意識に与えた影響とは【3/3ページ】

 さらに本展では、物語をモチーフとした工芸作品の意匠や、伝統芸能への展開にも着目している。例えば、第9段のエピソードを引用した田付長兵衛高忠作の《蔦の細道蒔絵文台硯箱》は、構図の大胆さと細部の緻密さのコントラストが美しい硯箱だ。本品のように、あえて登場人物を描かず、ゆかりの品々でストーリーを暗示する「留守模様」のデザインが多く見られるのも、『伊勢物語』の展開の大きな特徴だろう。

 これらに加え、能装束や謡本、能絵かるたなども紹介されており、『伊勢物語』というひとつの古典が、多岐にわたる領域でいかに豊かな表現の広がりを見せてきたかを改めて認識させられる。

田付長兵衛高忠《蔦の細道蒔絵文台硯箱》(江戸時代・17世紀)の展示風景
展示室7「伊勢物語の意匠化と芸能化」の風景

 在原業平の面影とともに、絵画や工芸、芸能などの多彩な作品、そして時代ごとの解釈の変遷を知ることができる本展。『伊勢物語』がいかに日本人の美意識を刺激し続けてきたのかが実感できる展覧会だ。

※展示風景はすべて主催許可を得て撮影

編集部