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「生誕1200年 歌仙 在原業平と伊勢物語」(三井記念美術館)開幕レポート。業平と『伊勢物語』が日本の美意識に与えた影響とは【2/3ページ】

 絵画としての『伊勢物語』の変遷をたどる展示室では、中世の貴重な作品から、俵屋宗達の流れを汲む尾形光琳ら琳派による華やかな「伊勢絵」までが集結しており、非常に見応えがある。

手前は《伊勢物語図貼付屏風》(江戸時代・17世紀) 六曲一双の大画面、そしてやまと絵ならではの雅な画面が空間に迫力をもたらしている
《伊勢物語八橋・龍田川図屏風》(江戸時代・17世紀)の展示風景

 また、宗達の工房で制作されたいわゆる「宗達色紙」や、酒井抱一、鈴木其一、中村芳中といった、宗達・光琳の画風を規範とした絵師たちによる多彩な業平の姿も見どころのひとつだ。

左から、伝俵屋宗達筆《伊勢物語図色紙 第82段1「渚の院の桜」》(江戸時代・17世紀)、中村芳中筆《業平図》

 本展においてとくに注目したいのは、同館所蔵作品で今回初公開となる《押絵六歌仙帖》だ。「押絵」とは、下絵に合わせて彩色した厚紙を切り抜き、布などを被せて貼り合わせることで画面に立体感を持たせる手法を指す。その独特かつ華やかな質感が、宮廷文化においても親しまれたという。

 あわせて、同じく同館所蔵の『古今和歌集』『後撰和歌集』『拾遺抄』といった業平に関する記述のある和歌集から、近世以降に誕生した豪華な「嵯峨本」までを展示。『伊勢物語』の成立と普及の歩みを体系的に知ることができる。

《押絵六歌仙帖》(江戸時代・18世紀)の展示風景。歌仙の下絵は御用絵師の鶴澤派に学んだ吉田元陳によるもの
展示風景より、『拾遺抄』(鎌倉時代・13世紀) 重要文化財

編集部