FUTURA、藤原ヒロシ、KAWSが語る「東京」の魅力とは?【2/3ページ】

なぜ東京がいまも重要なのか

 今回のトークイベントのテーマは「Why Tokyo Still Matters(なぜ東京がいまも重要なのか)」。その質問には思い思いの回答があった。

 「どの都市が重要か、重要ではないかというのを考えたことはありません。コンスタントなエネルギーがあるかどうか、そういう点では、東京で知り合った人たちは本当によく働く。ニューヨークは怠け者が多い。そこは対照的で、新しいものを見つけ、掘り下げ、学ぼうとする人たちから多くのインスピレーションを受けます。そして、カオティックであるいっぽうで、とても統制が取れていて、超平和でもある。刺激的な街です」(FUTURA)。

「東京は刺激的な街」だと話すFUTURA

 「言葉で言い表すのは難しいですが、個人的な感覚として。東京にはほかの都市には見えないようなある種の感受性が働いていると感じます。その背景には、変わり続けるいっぽうで、伝統を重んじている部分があるんじゃないかな。文化がこの国ならではの方法で築かれてきた。そこがすごく面白いし、様々な人に影響を与えるのではないでしょうか」(KAWS)。

 「僕は拠点が東京なので視点が変わりますが、海外に行くことが多くて、その度に必ずすぐにホームシックになるんですね。東京に帰りたくなる。そこには魅力があると思うんです。街を歩いていても比べてしまって、海外に行けば行くほど、東京の良さに気付かされる。そして何よりも、仕事がやりやすいんですよ。スムーズで、時間が有効に使える。時間の流れがいい街なんじゃないでしょうか」(藤原ヒロシ)。

 最後に観客として来場したVERBALからFUTURAに対し、70年代から精力的に活動し、世界へと活躍の場を広げてきたFUTURAの視点から見て、当時と現在を比べて、どちらの時代の方がチャンスは多いかと質問が投げかけられた。

 「明らかにいまのほうがチャンスは多いと思います。多くのものが手に入るし、オープンになってメディアも増え、つながりが広がるようになった。アイデアやイメージ、思想など、あらゆるものの発信、交換が容易になりました。私が旅する機会に恵まれ、90年代にヒロシやグラフィックデザイナーのSK8THNGなどと知り合って、それから仕事を続けてこられたのは非常にラッキーでしたが、いまなら、遠くに旅をしなくてもつながり何かを共有できるようになった。若い世代はそのチャンスをうまく活用していると思うし、そこから新しいものが生まれることに期待したいですね」(FUTURA)。

 そして、自分は脳もハートもまだまだ若く、100歳までアクティブに生き続ける予定だから、これからも若い世代にインスピレーションを与え続けられると、スーパーポジティブなコメントを残してくれた。

 「子供の頃に『戦場にかける橋』という映画を見たんですが、そのなかで日本人の大佐がイギリス兵の捕虜たちにいうセリフにとても印象に残ったものがあります。“Be happy in your work(自分の仕事に喜びを感じてほしい)”というセリフです。自分が制作を続けるうえで、その言葉を大事にしています」(FUTURA)。