グラフィティの先駆的な存在として知られるアーティスト、Futura(フューチュラ)の日本では約20年ぶりとなる個展「GENERATION Z」が、東京・原宿のThe Massで開催される。会期は11月16日~12月15日。
文字を基本としていた1970年代後半のグラフィティ界において、抽象的かつ革新的なアプローチを世間に示したフューチュラ。その色彩感覚や幾何学的な構成、線の表現はすべて、「サブウェイ・スクール」と呼ばれるニューヨーク地下鉄のグラフィティシーンのなかで独学で習得したものだという。80年代にはキャンバス・ペインティングで注目を浴び、ジャン=ミシェル・バスキアやキース・ヘリング、そしてケニー・シャーフとともに大きなアート・ムーブメントの立役者となった。
これまでロサンゼルス現代美術館やMoMA PS1など、世界各地の美術館で展示されてきたフューチュラ作品。2018年と19年には、ロサンゼルスに続きニューヨークでも開催されたストリート・アートの展覧会「ビヨンド・ザ・ストリート」に参加し、村上隆やゲリラ・ガールズ、タッツ・クルーらとともに作品を展示した。
そのほか広告や自身のアパレルブランド「フューチュラ・ラボラトリーズ」をプロデュース、ルイ・ヴィトンやコム・デ・ギャルソン、シャネルをはじめとするビッグ・メゾンとのコラボレーションも展開する。パンク・ロックを代表するイギリスのバンド「ザ・クラッシュ」への作品提供および楽曲に参加したことも話題となった。
本展では、4点の彫刻作品のほか、19年の日本滞在時に制作された27点のコミッション・ワークを展示。フューチュラは今日までの活動を振り返り、次のようにコメントしている。「グラフィティは自分の存在意義を確認するためのものだった。自分の名前を世界中に知らしめたかった。名を轟かせたかったんだ。ただ諦めずにつくり続けること。立ち止まらず、ひたすらにつくり続けるんだ」。