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「ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末」(パナソニック汐留美術館)開幕レポート。時代を超えて花開いたウィーン文化のダイナミズムを見る

パナソニック汐留美術館で「ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末 生活のデザイン、ウィーン・劇場都市便り」が開幕した。会期は12月17日まで。会場の様子をレポートする。

文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)

 東京・汐留のパナソニック汐留美術館で、「ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末 生活のデザイン、ウィーン・劇場都市便り」が開幕した。会期は12月17日まで。担当は同館学芸員の宮内真理子。

 19世紀末から20世紀初頭のウィーンでは、独自のモダンスタイルが確立された。オーストリアの建築家、オットー・ヴァーグナーが実用性と合理性を重視する「実用様式」を提唱。その思想に共鳴した弟子、ヨーゼフ・ホフマンらが推進したウィーン世紀末のデザインには、幾何学的で建築的な造形を特徴とし、実用性と快適さを実現する機能美が備わっていた。

展示風景より、ウィーン工房製の器

 こうした世紀末のデザイン革新の背景には、19世紀前半の建築様式である「ビーダーマイヤー様式」への回帰がある。手工業の質の高さ、模倣ではない主体的なデザイン、自然モチーフへの親しみなどが、世紀末のデザイナーたちにとって「近代的な住文化の出発点」として賞賛された。こうして、過去の遺産を意識的に継承し、造形の基盤として参照しながら、より時代に即した造形に発展させることで独自の「ウィーン・スタイル」を獲得していった。

 本展はこの「ビーダーマイヤー」と「世紀転換期」という、ウィーンの2つの特徴的な時代を取り上げ、銀器、陶磁器、ガラス、ジュエリー、ドレス、家具など、多彩な作品約270点を展示するものだ。

編集部