「浅間国際フォトフェスティバル2025 PHOTO MIYOTA」が開幕。避暑地で見る写真の現在地【4/4ページ】

 南米を拠点に女性の置かれる環境や複雑性などをテーマに写真を制作しているルイーザ・ドアは、2つのシリーズをダイナミックに見せる。《The Flying Cholitas》は、ボリビアの先住民の血を引く女性たち「チョリータ」をテーマにしたもの。伝統的な衣装をまとったチョリータたちが日曜日のレスリングで観客を沸かせる姿をとらえた写真は、市民権を求めて闘ってきた女性たちの歴史を伝える。

展示風景より、ルイーザ・ドア《The Flying Cholitas》(2019)

 いっぽうの《Imilla》は、ボリビアの山岳地帯で受け継がれてきた「ポジェラ」と呼ばれるスカートを纏う女性スケーター集団「イミージャスケート」をとらえたもの。このポジェラはスペインによる植民地時代に始まったもので、長らく差別の対象とされてきた。しかしそれは「イミージャスケート」のイメージを通してレジスタンス、そしてエンパワーメントの象徴となっている。

展示風景より、ルイーザ・ドア《Imilla》(2021)

 今年はMMoPから少し離れた場所にも会場が拡大。JAの直売所で作品を展示するのは、日本画と版画を学んだ経験を活かして写真を制作する石場文子だ。「錯視」に興味を抱いていたという石場は、被写体そのものに輪郭線を施して撮影することで、二次元と三次元の間の揺らぎをもたらす。場所とのマッチングも見事だ。

展示風景より、石場文子《untitled(デコポン)》(2025)、《2と3のあいだ [静物]緑》(2020)

 このほか本展では、株式会社アマナが2011年にスタートさせた企業コレクション「amana collection」の展示も見ることができる。主に1980年代以降の日本写真で構成された同コレクションには、日本を代表する写真家たちの作品が含まれており、本展では969点のコレクションから約200点を一堂に展示。「日常」「時間」「変容」「色彩」「多様な表現」の5つの要素で、日本の写真シーンを概観できる。

amana collection展より
amana collection展より
amana collection展より

編集部