「浅間国際フォトフェスティバル2025 PHOTO MIYOTA」が開幕。避暑地で見る写真の現在地【3/4ページ】

 スティーブン・ギルが屋外で見せるのは4つのシリーズ。なかでも、《Best Before End》は興味深い。これはネガフィルムを部分的に現像し、イーストロンドンで購入したエナジードリンクに浸して撮影したもの。現代都市生活の過剰さやスピードへの批判的な眼差しが、毒々しさを伴い表出している。

展示風景より、スティーブン・ギルの作品群

 Photoshopの「指先ツール」を使い、写真の色彩を引き延ばしたり混ぜ合わせることで「編集行為そのもの」を前景化させてきた小林健太。本展に並ぶ《Reflections》もその延長にあるものだ。

展示風景より、小林健太《Reflections》(2022)

 強迫性障害であることを開示している松井祐生(関川卓哉)。あるとき、自身が見せた挙動不審な様子を面白がってくれた友人がいたことから、初めて社会に存在していることを実感したという。こうした体験から、謎めいていながらも可愛がられているパンダにシンパシーを覚えた作家。スマートフォンにある自分の記録にパンダに貼り付け合成することで、新たな自画像を具現化させた。

展示風景より、松井祐生(関川卓哉)《私がパンダになりたいと願うための自画像》(2024-25)

編集部