「浅間国際フォトフェスティバル2025 PHOTO MIYOTA」が開幕。避暑地で見る写真の現在地

避暑地として知られる長野県御代田町で「浅間国際フォトフェスティバル2025 PHOTO MIYOTA」がスタートした。今年のハイライトは?

文・撮影=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

展示風景より、ルイーザ・ドア《Imilla》(2021)

 2018年にスタートし、コロナ禍を経て今年で6回目を迎える「浅間国際フォトフェスティバル PHOTO MIYOTA」が開幕を迎えた。

 本フェスティバルは昨年約3万3000人もの来場者を迎え、ますます注目を集めている。御代田町はここ数年、とくに若い世代のクリエイターを中心に移住者が増加しており、フェスティバルの会場となる「MMoP(モップ)」も近隣住民や旅行者から人気のスポットだ。

展示風景より、小山泰介《SEVENTH DEPTH》(2014)
展示風景より、カロリナ・ウォイタス《Abzgram》(2023)
展示風景より、ロール・ウィナンツ《Time Capsule》(2023)
展示風景より、ロンフィ・チェン《Meyer Lemon》(2020-22)

 今年のテーマは「Unseen Worlds まだ見ぬ世界へ」。ミクロの世界からマクロの世界まで、多様なアプローチを通して「まだ見ぬ世界」はの扉を開くような作品がラインナップされた。このうち、いくつか代表的な作品を紹介したい。

 リサーチ型の作品で知られるマレン・ジェレフは今回、公衆衛生学の研究者であるクラウス・ピヒラーと協働。2009年にオランダで「アスペルギルス・フミガータス」というカビの菌株が原因で数人が亡くなったケースを題材に《Too close to nice》を制作した。この菌はオランダの特産品であるチューリップの大量生産に関連するものであり、本作ではカビの姿をチューリップと重ね合わせ、美しい花が生まれる代償に脅威も同時に生まれるという事実を示している。

展示風景より、マレン・ジェレフ/クラウス・ピヒラー《Too close to nice》(2022)
展示風景より、マレン・ジェレフ/クラウス・ピヒラー《Too close to nice》(2022)とエルサ・レディエの作品群

編集部