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モネが愛したジヴェルニーの庭を再現。本家モネの庭が世界で唯一公認する高知県北川村「モネの庭」マルモッタンの庭づくりとは【4/4ページ】

 3つ目の庭は「花の庭」。色彩豊かな花に囲まれたこの庭では、春は少し低い背丈のパステルカラーの花々、夏は背の高い赤や黄色の花々といったように、季節ごとにその雰囲気を変化させている。

 庭のなかでどの場所に何色の花を植えるのかは、ジヴェルニー側からの指定に沿って決められている。薄い青、濃い青、薄紫といったように、少しずつ違う色が区画ごとに順番に並べられており、上から庭を見るとまるでパレットのように見える。また庭の西側には赤やオレンジの花を咲かせているが、これは夕方西陽が差すタイミングで、夕陽が花を透過して庭全体が美しい赤色に見えるように計算されていることが背景にある。花だけでなく、光の差し方まで計算した上で設計された庭は、ある種の芸術作品といっても過言ではないだろう。

「花の庭」の様子

 色の区分は厳密に決まっているものの、その色を構成する花の種類選定は、北川村のガーデナーに任されている。植栽はすべて計画されているが、場合によっては花壇の外に生えてきた花も、色合いがあえば花壇内に移植することもあるという。先を予想しきれない自然を相手にしながら、モネはこの景色を愛するかどうかを判断軸とし、偶然すら取り込みながら庭づくりを行うガーデナーたちもまた、広義の意味でアーティストだと言えるかもしれない。

「花の庭」の様子

 印象派の巨匠であるモネは、こだわりの詰まった美しい庭のなかで、自身が見た景色を描き続けた。その作品を深く理解する方法は様々であるが、モネが見たであろう景色を実際に見て追体験することで、いままで気づくことができなかった色彩や画面構成の背景を知ることができるかもしれない。モネと同じ目線でその光景を見つめ、彼は何を描こうとしたのかを、ぜひ実際に「モネの庭」を訪れ想像してみてほしい。

*ーー一部内容を修正しました

編集部