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モネが愛したジヴェルニーの庭を再現。本家モネの庭が世界で唯一公認する高知県北川村「モネの庭」マルモッタンの庭づくりとは【2/4ページ】

 本施設は大きく3つの庭で構成されている。庭全体は3ヘクタールほど。

 入り口から少し登ったところにあるのは「水の庭」。ここではモネの代表作である「睡蓮」シリーズのモチーフとなる睡蓮を見ることができる。池の大きさは少し小さいが、形はジヴェルニーのものとほぼ同じで、多いときで300〜400輪ほどが咲く。

「水の庭」の様子、庭づくりの参考にした作品のイメージが設置されている

 温帯性の睡蓮は4月半ば〜10月頃まで見ることができるが、とりわけモネがこだわっていた熱帯性の青い睡蓮は、水温25度以上の環境で咲くため、6月下旬〜10月頃が見頃だ。睡蓮は1回に6時間しか花が開かないため、夏場は朝から開き始め、午後になると閉じてしまう。

 夏場の北川村での気温であれば、青い睡蓮も問題なく咲くが、ジヴェルニーはそれよりも北に位置し気温が低いため、青い睡蓮を咲かせることが困難だったと予想される。それでも試行錯誤を重ねたが、最後まで咲かせることはできなかった。モネには青い睡蓮に対する強いこだわりがあったのだろう。本施設では、モネの夢を叶え、美しい青い睡蓮が水面を彩っている。

「水の庭」の様子、青い睡蓮が咲いている

 また睡蓮の葉の成長はとても早く、じつは一週間に1回は睡蓮の手入れとして葉っぱのトリミングを行っているという。手入れを怠るとたちまち水面が睡蓮で覆われてしまい、モネの作品に表現される睡蓮の葉ごとの余白となる水面が見えなくなってしまう。そのため、ガーデナーが池に入り手入れ作業を行うことで、モネが見た光景を再現し続けている。手入れする際は水面の見え方を意識しており、睡蓮の葉がどこから見ても一直線にならないようになっている。フランス庭園は規格化された様式が多いが、モネは自然そのままの形を好む日本庭園様式のような好みがあったのかもしれない。

「水の庭」の様子、木々や空、雲も水面に映る風景となる

 季節や時間、天候や見る角度によって表情を変える睡蓮は、まさにモネの描く作品と同じようである。

編集部