伝統的な和紙の魅力を現代にも伝える「大直」

甲府盆地の最南端に位置する市川大門にある和紙メーカー「大直」は1974年の創業。日本一の障子紙の生産地として栄えてきたものの、近年の生活スタイルの変化によりその需要は衰退の一途をたどっていたと社長の一瀬美教は語る。
そこで、新たな生活スタイルや日常的な場面で使用してもらえるアイテムを30年前ほどから始めたという。とくに2007年に深澤と共同開発を行ったブランドシリーズ「SIWA | 紙和」は、和紙ならではの柔らかな風合いを生かしながらも、耐久性のあるシンプルかつ上品なプロダクトとも言えるだろう。


また、本社には和紙でできた茶室「直庵」も設置され、お茶を嗜む人々とのコミュニティスペースとしても活用されている。
大直
住所:山梨県西八代郡市川三郷町高田184-3
電話番号:055-272-0321
久遠寺から覚林坊、JA南アルプス市西野共選所に至るまで
ほかにもツアーでは、行学院 覚林坊の宿坊や身延山久遠寺、JA南アルプス市西野共選所などを訪れ、県外に住む人々ではなかなか知ることができない山梨ならではの風土や文化、産業の在り方、そしてそこに住む人々の営みを知り、その一端を体験することができた。



今回のツアーは、深澤が選んだ「山梨のデザインの宝物」を巡る旅となった。そこでたびたび気になったのは、訪問した現場の方々が口にする「自分はデザインについて明るくないのですが」「デザインなんて大それたものではないのですが」といった言葉だ。「デザイン」とはいつからそのように高尚なものになってしまったのだろうか。このデザインという言葉の持つ不思議な専門性と、一部の人間しか携わることができないという固定概念こそが、この「DESIGN MUSEUM JAPAN」や昨今のデザイン業界が課題とするポイントなのだろう。全国各地のものづくりの現場を目の当たりにすることで、いま改めて拡張し続けるデザインの意味を探る機会となった。



















