また同館内のもうひとつの大きな特徴が、大小様々な「丸穴」の開口部だろう。エントランスホールや天井高が約12mある吹抜の地階展示ギャラリーでは、鉄板の天井や壁に丸穴を開けることで光量をコントロールしており、穴の数を調整することで、北側に行くにつれ、より明るい空間となるようになっている。また1階企画展示室では、展示室と展示室の間の「ギャラリー」から丸穴越しに海の景色を見ることができ、鑑賞体験中の「緩衝空間」が生み出されている。

こうした館内外のシーンを切り取るたくさんの窓は、自然や他者の活動に意識を向けさせようとする、山本理顕の設計思想を表現するものだ。
山本は本展の開催に際し、こう語る。「どんな小さい建物も、命懸けでつくってきた自負がある。ぜひご覧いただきたい。いまの建築をめぐる状況では、博覧会(大阪・関西万博)になんの躊躇もなく参加している人もいる。そこかわもわかるように、建築家は権力に対して力はない。しかし力のある建築をつければ、新しい社会をつくれると確信している」。




















