建築と災害支援の両輪を担う
──1985年頃に坂茂建築設計を設立し、その後パリとニューヨークにもオフィスを展開させるなどグローバルにご活躍されている坂さん。建築家としてのスタートから40年弱が経過した現在、総勢何人くらいのスタッフと、いくつのプロジェクトを進行しているのでしょうか。
坂 茂(以下、坂) 東京のオフィスには45人くらいで、パリには現在20人弱ぐらいが在籍しているかと思います。フランスではプロジェクトごとに契約をしているので、大きなプロジェクトの際には30人以上いたりもします。ニューヨークにも現在10人ほど在籍していますが、コロナ以降は皆様々な場所で仕事に当たっています。ヨーロッパのプロジェクトはパリのオフィスが、アメリカのものはニューヨークのオフィスが動く、といったかたちです。
──数々の代表的建築を生み出してきた坂さんが建築家を志した経緯について改めて教えてください。
坂 幼い頃は大工を目指していました。家の増改築を見ていて、憧れがあったんです。その頃は建築家という職業があることを知りませんでしたから。中学生になると、学校の技術・家庭科で、住宅設計の授業がありました。夏休みには宿題で住宅模型をつくるという機会があったのですが、それがすごく得意でした。それがきっかけで建築の勉強を始めました。
──いままで手がけてきた建築プロジェクトのなかで、坂さんにとって転機となったものをいくつか教えてください。