また本章では、大奥内での娯楽についても紹介されている。当時江戸では歌舞伎が流行していたが、もちろん外に出ることができないため、彼女たちは大奥のなかで歌舞伎を見られるようにした。しかし大奥には女性以外立ち入りができないため、女性の歌舞伎役者が出入りしていたという。
本展では、坂東三津五郎に弟子入りした女性歌舞伎役者の坂東三津江の、歌舞伎衣装が初めて一挙公開されており、大変貴重な機会となっている。

長年秘密に満ちていた大奥の、その本当の姿が明らかになってきたいま、我々は大奥に対して何を感じるだろうか。大奥で生きた女性は架空の存在ではなく、確かに生きていたひとりの人間なのだと認識するとき、自身の見え方にどのような変化が起こりうるか、ぜひ会場で確かめてみてほしい。



















