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特別展「江戸☆大奥」(東京国立博物館)開幕レポート。秘密に満ちた大奥の、実際の姿が明らかになるとき【3/6ページ】

 第2章「大奥の誕生と構造」は、第1章とはうって変わり、実際の資料をもとにした大奥の本当の姿を明らかにするものとなる。

 「大奥」の礎を築いたと言われる春日局(斎藤福)らを紹介しながら、当時大奥の中で絶大な政治的権力を握り栄枯盛衰を見てきた女中たちにも焦点が当てられる。

展示風景より、《春日局坐像》 木造、彩色、玉眼 江戸時代 17世紀 京都・麟祥院(京都市)

 現代に遺された文書や絵図からは、大奥を含む実際の江戸城の本丸内の構造を知ることができる。江戸城の本丸は「表」「中奥」「大奥」にわかれていたが、同館が所蔵する「江戸城本丸大奥総地図」には、さらに大奥内部が細かく描かれている。将軍正室が住んでいた御殿向は黄色、役人が過ごす広敷向は橙色、女中が暮らす長局向は赤色と色分けされ、よく知られる御鈴廊下が、実際に大奥のどこに位置していたのかも、この資料から見つけることができる。

展示風景より、《江戸城本丸大奥総地図》 紙本着色 江戸時代 19世紀 東京国立博物館

 本章で取り上げられている御年寄の存在も興味深い。女中といっても、そのなかの最高位に位置するで御年寄は圧倒的な権力と財力をもっていた。代わりに結婚することはなく、さらに大奥の情報を表に出さないために生涯江戸城から出てはいけないというルールが課せられていた。彼女たちの存在からも、大奥という秘められた世界の一端をみることができるだろう。

編集部