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「ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの ―『民藝』から現代まで」(パナソニック汐留美術館)開幕レポート【3/7ページ】

 2章は、民藝運動の中心人物だった河井寛次郎(1890~1966)や濱田庄司(1894~1978)といった、近代の陶芸家たちにおける色彩表現のあり方を見つめるもの。河井の《三色打薬貼文扁壺》(1961-63頃)は、赤、緑、茶の三色を打ち付けるように着色した晩年の代表的作風。祈るような姿の扁壺に、釉薬が絵画的に彩りを与えている。

展示風景より、河井寛次郎《三色打薬貼文扁壺》(1961-63頃)
展示風景より、三代徳田八十吉《耀彩鉢 創世》(1991)

 土を焼成する手法として挙げられる、薪窯や電気窯やガス窯。「マチエールのちから」は、従来よりも焼成の仕方に創意工夫する作家が現れるなかで、焼成の効果としての表面の質感の表現(マチエール)に注目するもの。内田鋼一による、《untitled》(2025)は、マチエールとして緑青を見事に表現しており、時間の経過を静かに封じ込めることに成功している。

展示風景より、手前が内田鋼一《untitled》(2025)
展示風景より、中央はアンリ・マティス《鏡の前に立つ白いガウンを着た裸婦》(1937)

編集部