ミース幻の建築が実寸大で登場
展示は2階にも続く。ここが無料エリアとなっていることは特筆すべきだろう。
天井高8メートルを誇る企画展示室2Eでは、ミース・ファン・デル・ローエの「ロー・ハウス」プロジェクトがクラウドファンディングによって原寸大で再現された。同作は、ミースが1930年代から構想していた中庭のある住宅(コートハウス)のひとつで、これまでは図面でしか知られてこなかった。それを実寸大で実現した初の試みだ。



空間の内部にはミースの名作「バルセロナ・チェア」をはじめとする家具も配置されており、一部は実際に座ることもできる。中庭の空間は6分30秒周期で照明が刻々と変化し、24時間の光の変化を擬似的に体験することも可能だ。
岸は「100年近く経って、ミースの弟子になれた。巨匠の考えを想像しながらつくるのは喜び以外の何物でもない」と、本プロジェクトに関わった喜びを語っている。来館者はミースの巨大模型の中に入り込むことで、その思想に触れるような貴重な体験ができるだろう。

