巨大水平窓から覗く1階

壁のない広大な展示室の入口には、ル・コルビュジエ「ヴィラ・ル・ラク」にある巨大な水平連続窓を模した空間が設けられ、そこから展示全景を見渡すことができる。1階展示室に広がるのは、以下14邸の模型を中心とした資料だ。
ル・コルビュジエ「ヴィラ・ル・ラク」(1923)、藤井厚二「聴竹居 」(1928)、ミース・ファン・デル・ローエ「トゥーゲントハット邸」(1930)、ピエール・シャロー「ガラスの家」(1932)、土浦亀城「土浦亀城邸」(1935)、リナ・ボ・バルディ「ガラスの家」(1951)、広瀬鎌二「 SH-1」(1953)、アルヴァ・アアルト「ムーラッツァロの実験住宅」(1953)、ジャン・プルーヴェ「ナンシーの家」(1954)、エーロ・サーリネン&アレキサンダー・ジラード&ダン・カイリー「ミラー邸」(1957)、菊竹清訓&菊竹紀枝「スカイハウス」(1958)、ピエール・コーニッグ「ケース・スタディ・ハウス #22」(1959)、ルイス・カーン 「フィッシャー邸」(1967)、フランク・ゲーリー「フランク&ベルタ・ゲーリー邸」(1978)。これらのうち、多くが設計者本人の自邸ということも本展の特徴だ。
このなかから、主だったものを紹介しよう。
ル・コルビュジエ「ヴィラ・ル・ラク」は、ル・コルビュジエが両親のためにスイスのレマン湖畔に建てた小さな住宅。湖に面した11メートルの長い窓が特徴の細長いコンパクトな空間には、来客時のベッドも含めて、必要最小限の設備が機能的におさめられている。
藤井厚二の「聴竹居」は、京都・大山崎町の山林に建つ藤井の5番目の自邸だ。家族と暮らした「本屋」、趣味を探求した「閑室」、来客を招いた「茶室(下閑室)」からなる構造で、まさに木造モダニズムの傑作。日本の気候風土や生活様式を意識した工夫が凝らされている。実物は現在も予約制で見学が可能だ。
