土浦亀城の「土浦亀城邸」は、フランク・ロイド・ライトの弟子である土浦によるふたつ目の自邸。日本初の女性建築家である信子夫人もその設計に携わった。東京の上大崎に建てられた木造乾式構造の建物は、様式、インフラともに欧米の最新の動向を取り入れつつ、日本の風土にも適合するよう設計されており、現在はポーラが復元・移築し、都心で一般公開されている。その内部は、敷地の高低差を生かした5つのフロアでゆるやかにつながっており、昭和初期の住宅建築を代表するインターナショナルスタイルの都市型小住宅だ。


リナ・ボ・バルディの「ガラスの家」は、イタリア出身のボ・バルディが、ブラジル国籍を得た1951年にサンパウロに建てた自邸。高台のガラスファサードで覆われた建物の周囲には、建築家自身が吟味して植物を植えた。植物や土着の文化に関心が高いボ・バルディは、その開放的な室内を、地元の木材を使って自ら制作した家具や、アートディーラーの夫とともに集めた美術品や民芸品で満たした。

ルイス・カーン「フィッシャー邸」はアメリカのフィラデルフィア郊外の自然豊かな場所に建つ。キューブ状のふたつの建物を、片方45度ずらして接続している。暖炉の脇にあるリビングの窓辺には、美しい景観を切り取るガラス窓や風を取り込む開閉窓、人が佇めるベンチなど、様々な用途が組み合わされている。
