第1章「ジャーナリストをめざす」では、キャパのキャリア初期に光を当てる。1932年、ユダヤ人排斥が激しくなった祖国・ハンガリーを離れ、パリに拠点を移した時代の作品が展示されている。ナチスの台頭、共産主義思想の隆盛、労働者たちの姿を写し取ったその作品は、自らを写真家ではなくジャーナリストだと名乗ったキャパの姿勢がうかがえる。

第2章「スペイン内戦」は、1935年から36年にかけてバルセロナとマドリードを訪れたキャパが、労働者革命によって沸き立つスペインの熱気と、スペイン内戦の生々しい様子をとらえた写真を紹介。とくに展示室の壁面に大きく展示されている《崩れ落ちる共和国側の兵士》(1936)は有名な作品で、沢木耕太郎『キャパの十字架』(文藝春秋、2013)でも仔細に分析されていることで知られている。この内戦に勝利したフランシスコ・フランコは、その後75年まで長期独裁を行うことになる。
