第28回TARO賞は岡本太郎賞に仲村浩一、敏子賞に齋藤玄輔【3/4ページ】

岡本敏子賞受賞:齋藤玄輔

展示風景より、齋藤玄輔《語り合う相手としての自然》

 いっぽう、敏子賞の齋藤は1975年北海道生まれ。2004年に東北芸術工科大学大学院を修了した。

 岡本太郎美術館の展示空間で特徴的なガラスに囲まれた空間で発表された《語り合う相手としての自然》は、東日本大震災の原発事故を題材にしたもの。福島県双葉町で被曝したであろう植物を採取し、押し花にしたものを版として、福島第一原子力発電所建屋に描かれていたような模様をした「植物の建屋」を出現させた。内部からは電力=LEDライトが植物を照らし出す。

 齋藤は本作について「思い入れの強い作品」としつつ、「被災していない自分がこれをつくっていいのかと思いながら、発表まで14年という時間がかかった」と振り返っている。

 また審査員の和多利は本作を次のように評している。「まず、カーボン紙のブルーの色に目を奪われる。一見遠くから見るとデザイン的なイメージかと思い、近づいてみるとその儚さと繊細さに衝撃を受ける。裏からの強いLEDライトもカタチを崩した植物のラインを強調している。ベースフォルムを福島第一原子力発電所建屋から成っている点、収集された植物が帰宅困難地域で被曝しただろう植物という点に心打たれた」。

展示風景より、齋藤玄輔《語り合う相手としての自然》

編集部

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