NEWS / HEADLINE - 2020.2.13

第23回TARO賞は野々上聡人に決定。敏子賞は根本裕子

岡本太郎の遺志を継ぎ、次代のアーティストを顕彰する岡本太郎現代芸術賞(通称TARO賞)。その第23回の受賞者が発表され、野々上聡人が大賞である「岡本太郎賞」を受賞した。

野々上聡人
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 岡本太郎の精神を継承し、次代のアーティストを顕彰することを目的に毎年行われている「岡本太郎現代芸術賞」(通称TARO賞)。その第23回の受賞者が2月14日、川崎市岡本太郎美術館で発表された。

 今回のTARO賞には452点の応募があり、うち23組が入選。大賞となる岡本太郎賞は野々上聡人が、岡本敏子賞は根本裕子が受賞した。

野々上聡人

 野々上は1984年千葉県生まれ。美術教育を受けず、独学で作品を制作してきた。受賞対象となった《ラブレター》は、過去10年の間に制作された平面、立体、映像のなかから、自身が「良いと思うもの」を選び、巨大なインスタレーションとして構成したもの。会場の中でも圧倒的な存在感を放つ。

 「美術教育を受けてなくて、好奇心で絵を描き続けていて、そんな自分がこの賞をもらえて嬉しい」と語る野々上。「狙いも思惑も超越する人生へのラブレター」だという本作には、「全国にいる、ただ絵が好きだという(自分のような)“猿”に向けてのラブレター」という意味も込められていると話す。

展示風景より、野々上聡人《ラブレター》 

​ アート分野の公募は今回が初めてだったという野々上は「日常のすべてがインスピレーションで、日常のなかにある感動しか描けない。大きなメッセージがあるわけではなく、日々の疑問や喜びしか絵にならない」と語った。本作について、審査員のひとりである美術批評家・椹木野衣はこう評する。「密度もさることながら、一点一点込められた力の重さ、命の所在を探るような動き、得体の知れない不穏さなど、わかりやすくはないが、心に残る要素に満ちあふれていた」。

 いっぽう、岡本敏子賞を受賞した根本裕子は1984年福島県生まれ。東北芸術工科大学大学院芸術工学研究科芸術文化専攻陶芸領域修了。作品は手びねりによって制作され、これまで動物のかたちを借りた架空の生き物を題材に、生き物が持つシミや皺、たるみなどで時間の痕跡を粘土に刻み、表現してきた。

根本裕子

 本展受賞作の《野良犬》は、根本が初めて「犬」に的を絞った作品で、17体の様々なポーズを取る犬で構成されている。

「犬は人間に一番近い動物で、一番影響を受けてる。そんな犬を題材にすることで、人間というものを照射したい。世界は人間主体ではなく、動物の目線も大事にしたかった」。

展示風景より、根本裕子《野良犬》

 審査員の山下裕二は本作について、「陶ならではの毛並みの表現も見事。質感も巧みに表している」としながら、「かつて山の守護神として崇められながら絶滅してしまったニホンオオカミのイメージを野良犬に重ねて、アニミズム的な空間をつくりだすことに成功している」と評価する。

 なお今回特別賞は、澤井昌平、藤原千也、本濃研太、村上力、森貴之の5名が受賞。5名の受賞は異例だが、審査員の和多利浩一は「展覧会自体質が高いものが揃った。5人はほとんど差がなかい。美術館や日本から、どんどん外に出て行ってほしい」とエールを贈った。

 これら23作家の作品が揃う「岡本太郎現代芸術賞展」は4月12日まで。会場でTARO賞ならではの熱気を感じてほしい。

展示風景より、澤井昌平《風景》
展示風景より、藤原千也《太陽のふね》
展示風景より、森貴之《View Tracing》