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「ある⽇」(座間市役所/ビナウォークほか)開幕レポート。誰かと向き合うことを福祉として真摯に考える【2/6ページ】

座間市役所

 昨年、鈴木康広の展覧会「空気の人/分光する庭」を開催した座間市役所。ここでは、1階、2階、7階の各スペースをつかって飯川雄大、金川晋吾、キュンチョメの3作家がそろって展示を行っている。

 市役所の7階は、建物を半周するようにコの字状にガラスが張られ、丹沢大山や相模川までを見渡すことができる、眺望に長けた空間だ。ここのスロープには、金川晋吾の写真が展示されている。

展示風景より、金川晋吾のワークショップで制作された写真

 金川は1981年生まれ。東京藝術大学大学院に在学中の2008年より父親の撮影を続け、16年に写真集『father』(青幻舎)を刊行。もっとも身近な他人である父親の姿を通して、社会制度や家族制度では一言で括ることのできない人間の存在について問いかけたことで話題を集めた。また、23年に刊行した『長い間』(ナナルイ)は、伯母との関係を主題としている。

 金川が本プロジェクトで3日間に分けて行ったのは、写真と日記のワークショップだ。このワークショップには一般参加者のみならず各市の職員も参加した。撮影されることに抵抗のある参加者に、金川自身を撮影してもらったり、また、職員を撮影する様子を見てもらうなどをしたという。

展示風景より、金川晋吾のワークショップで制作された写真

 会場には、こうしたワークショップの過程で生まれた作品が並ぶ。とくに、金川をワークショップ参加者が写した作品は、カメラを持つ参加者と金川との関係性が、被写体となった金川の微妙な表情や手足の仕草から伝わってきており、写真というメディアだからつながることができる、ささやかな関係性が胸を打つ。

 また、金川が数年ものあいだ行方がわからなくなっていた伯母(実父の姉)との、約10年の年月について写真と日記によってまとめた『長い間』から数点が、外光が注ぐ展望階の壁面に並んでいる。

展示風景より、金川晋吾《長い間》

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